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メタボリックシンドロームは皮膚の大敵?肥満が及ぼす皮膚への影響と対策 #専門家のまとめ

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:イメージマート)

近年、肥満と様々な疾患との関連性が明らかになってきています。この記事では、肥満が子供のアトピー性皮膚炎のリスクを高めることや、成人の乾癬やメラノーマとの関係、メタボリックシンドロームへの影響などについて、最新の研究結果を踏まえて解説します。肥満がもたらす皮膚や全身への影響を理解し、適切な体重管理の重要性について考えていきましょう。

ココがポイント

▼子供の肥満がアトピー性皮膚炎のリスクを高め、標準体重への移行でリスクが低下する。

・子供の肥満がアトピー性皮膚炎を引き起こす? 最新研究で明らかに(Yahoo!ニュース エキスパート 大塚篤司)

▼肥満は皮膚の病変だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす。

太り過ぎは皮膚にも大敵!?肥満と皮膚疾患の深い関係(Yahoo!ニュース エキスパート 大塚篤司)

▼腹部肥満とメラノーマの関連性は性別により異なり、免疫機能の変化が関与している。

肥満とメラノーマ - 最新研究で明らかになった驚きの関係とは(Yahoo!ニュース エキスパート 大塚篤司)

▼乾癬とメタボリックシンドロームには密接な関係があり、生活習慣の改善が重要。

乾癬とメタボの意外な関係 - 最新の研究でわかった生活習慣病との関連性(Yahoo!ニュース エキスパート 大塚篤司)

エキスパートの補足・見解

肥満は、単なる見た目の問題ではなく、皮膚や全身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。子供の肥満は、アトピー性皮膚炎の発症リスクを高めることが最新の研究で明らかになりました。肥満によって皮膚のバリア機能が低下し、炎症性サイトカインが増加することが、アトピー性皮膚炎の発症や悪化につながると考えられています。

成人においても、肥満は乾癬やメラノーマなどの皮膚疾患との関連性が指摘されています。乾癬患者の60〜70%が肥満または過体重であり、肥満が乾癬の発症リスクを高めるだけでなく、症状を悪化させ、治療効果を低下させる可能性があります。一方、メラノーマについては、全身性の肥満と腹部肥満で異なる影響があり、性別や年齢によっても関連性が異なることが示唆されています。

さらに、肥満はメタボリックシンドロームとも密接に関係しています。肥満者では、高血圧、糖尿病、脂質異常症などのメタボリックシンドロームの有病率が高く、これらの生活習慣病が皮膚の健康にも悪影響を及ぼすことが知られています。

肥満が皮膚や全身の健康に与える影響を考慮すると、適切な体重管理の重要性が明らかです。バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などの生活習慣の改善が、肥満の予防と改善に有効です。また、すでに肥満の場合は、無理のない範囲で標準体重を目指し、長期的な視点で生活習慣の改善を図ることが大切です。

肥満と皮膚疾患の関係は複雑であり、今後さらなる研究が必要ですが、現時点での知見からも、肥満が皮膚と全身の健康に多大な影響を与えることは明らかです。自分の体重や生活習慣を見直し、健康的な体重の維持を心がけることが、健康的な肌を保つ秘訣といえるでしょう。

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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