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見えてきたスペイン代表の輪郭。アセンシオのゼロトップと「飛び出し型インテリオール」の使い方。

森田泰史スポーツライター
シュートを打つアセンシオ(写真:ロイター/アフロ)

シーズンが終わったばかりだ。完全なる公式戦というわけでもない。それでも、スペイン代表は悪くない仕上がりを見せている。

スペインは、UEFAネーションズリーグで、ここまでの戦績を1勝2分けとしている。グループステージで2位に位置しており、決勝トーナメント進出の可能性がある。

直近の試合で、スペインはスイスを撃破している。ホームで23試合無敗を貫いていたスイスだが、スペインを前に屈した。「ポジティブな試合だった。スイスは8年にわたり、ホームの試合で負けていなかった。我々は幸運だったし、勝つためのパーソナリティを備えていた」とはルイス・エンリケ監督の弁だ。

■ラ・ロハの主力

UEFAネーションズリーグで、常に先発してきた選手が、3名いる。GKウナイ・シモン、パブロ・サラビア、ガビである。

最もインパクトを残したのは、無論、ガビだろう。

17歳にして、ラ・ロハ(スペイン代表)の中心になりつつある。スイス戦では、後半序盤にシャペウでジェルダン・シャチリを、ダブルタッチでグラニト・ジャカをかわして観衆を沸かせた。

ドリブルするガビ
ドリブルするガビ写真:ムツ・カワモリ/アフロ

キリアン・エムバペ(フランス代表)、マイケル・オーウェン(イングランド代表)、ロナウド(ブラジル代表)…。多くのヤングプレーヤーが、ワールドカップで鮮烈な印象をフットボール・ファンに与えた。そのリストに、ガビの名前が載ってもおかしくはない。

前回のW杯でインパクトを残したエムバペ
前回のW杯でインパクトを残したエムバペ写真:ロイター/アフロ

■飛び出し型のインテリオール

また、L・エンリケ監督のガビのパートナー選びにも注目すべきだ。

カルロス・ソレール、コケ、マルコス・ジョレンテが、そこに名乗りを挙げている。適材適所の問題で考えるなら、ソレールやジョレンテが適任だろう。

「飛び出し型」の選手をインテリオールに置く。ここで生まれるダイナミズムが、スペインの攻撃を活性化させる。

ポジショナルプレーを志すスペインは、まず選手を正しいポジションに配置する。

【4−3−3】で、それぞれが、自分のポジションに就く。スペインの場合、細かく言えば、【4−1−2−3】なので、4ラインができる。

そして、ここから、攻撃時に可変する。いくつかパターンはある。

(1)WGが内に入り、SBが大外を回る

(2)WGが外に張り、SBがインナーラップする

(3)WGが外に張り、IHがニアゾーンランする

重要なのは(3)で、この場面でソレールやジョレンテが重宝する。

特に、ジョレンテは、やはりインテリオールで力を発揮する。スピード、瞬発力、スプリント能力は、ラ・ロハでも頭抜けている。

ジョレンテの爆発力はボールがスペースに出た時に生かされる。であれば、並列でコンビを組むのはガビが妥当であり、縦に並ぶのは留まるタイプのSB、セサル・アスピリクエタが合っている。

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■EURO2020からの進化

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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