【飲食コンサルが解説】飲食店開業に必要なコンセプトシートの作り方
飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表コンサルタントの三ツ井創太郎です。
前回のコラムでは、飲食店開業に伴う競合店&モデル店調査について、繁華街にて客単価5,500円のイタリアンレストラン等を3店舗展開しているF社長からのご相談事例をベースにお話しをさせて頂きました。
なお、今回の内容はYouTubeチャンネルでも解説していますので、よろしければ下記よりご覧ください。
(筆者作成)
今回もF社長の会社の事例を元に、飲食店開業における「コンセプトシート」の作り方に関してお話しをさせて頂きます。競合店やモデル店の調査が完了したら、いよいよ自店舗のコンセプトを考えていきます。実は以前の私のコラムでお話しをさせて頂いた「飲食店差別化8要素」をベースに業態コンセプトを整理する事ができます。下の表は実際にF社長のお店の新規出店の際に作成した業態コンセプトシートです。
【A3サイズ1枚でまとめる業態コンセプトシート】
出店候補物件の商圏分析結果、競合店、モデル店調査の結果などをベースに「飲食店差別化8要素」を意識しながら、業態のコンセプトを具体的に見える化してA3サイズ1枚にまとめたものです。このように頭の中にあった業態のイメージを1枚にまとめる事で、業態のコンセプトがより具体的になります。コロナ禍において既存のアルコール業態から、いわゆる非アルコール業態への参入を検討する企業様が増えましたが、こうした既存業態とは異なるビジネスモデルにチャレンジする際等には、とくに業態コンセプトをしっかりと固める事が重要となります。そして業態コンセプトがまとまったら、最後に3つのポイントついてチェックをします。
【飲食店の業態コンセプトシートの3つのポイント】
まず1つ目のポイントは「社長の想い」です。いくら業態コンセプトが上手にまとまっていたとしても、社長自身がやりたくない事は長続きがしません。さらに言うとその社長がやりたいとおもった事は自社の経営理念と照らし合わせてみて違和感が無いかという事に関しても考える必要があります。新規事業や新業態は始めた当初は上手くいかない事が往々にしてあります。そんな時に一早く課題を見つけ、課題解決に向けて力強く動く原動力となるのは、やはり「社長の想い」です。
2つ目のポイントは「経営資源」です。思い描いた理想の業態であっても、自社にそれを実現化する力がなければ新規事業や新業態を成功に導く事はできません。ここで言う経営資源とは「人」「物」「金」「情報」です。「人」は文字通り、新規事業/新業態を任せる責任者です。自社に適任者がいなければ新規採用をする事になりますが、新規採用した人材に新規事業/新業態を任せるというのはリスクが大きいので出来る限り既存社員から責任者登用をする事をお勧めします。「物」は食材等の調達、「金」は開業資金、「情報」はその新規事業/新業態を成功に導く為のノウハウです。
そして3つ目のポイントは「ニーズ」です。社長がやりたい事で、自社ができる事であっても、市場から求められていない=ニーズが無い新規事業/新業態を成功させる事はできません。
F社長の今回の新規出店に関して言うと、既存店の客単価5,500円で培った技術を4,000円代で提供する今回の「漁港直送鮮魚と有機野菜を使った実演型の海鮮イタリアンバル」というコンセプトは、F社長が思い描いていたイメージと合致するもので、業態コンセプトシートが完成した時には本当にワクワクされていました。正に社長がやりたいことの想いが詰まった業態です。
経営資源の「人」に関しては、既存店で長年店長を務めてきてくれた信頼できるスタッフをプロジェクトリーダー兼店長に抜擢しました。
「物」に関して、今回の業態の商品力の肝である漁港直送鮮魚と有機野菜は、知り合いの飲食店経営者に実績のある業者さんを紹介してもらいました。
「金」に関しては、居抜き物件の設備を最大限活用する事で2,000万円程度に抑える事が可能になりました。
「情報」について、これは今回当社で業態開発プロジェクトを行わせて頂いた事で、商圏特性情報、競合/モデル店情報、コンセプトなどの情報を提供させて頂く事ができました。最後のニーズに関しても、同じ立地特性の全国の繁盛店調査等から詳細に捉える事ができました。
ぜひ皆様も、自店舗の業態コンセプトシートを作成してみて下さいませ。
最後までお読み頂きありがとうございました。
(筆者作成)
<筆者プロフィール>
飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント
代表取締役 三ツ井創太郎
https://www.threewell.co/business