飲食コンサルタントが解説、飲食店開業に向けた競合&モデル店調査の手法
飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表コンサルタントの三ツ井創太郎です。
前回は、飲食店開業に伴う「商圏分析」のやり方に関してお話をさせて頂きました。
今回は、繁華街にて客単価5,500円のイタリアンレストラン等を3店舗展開しているI社長からのご相談事例をベースに飲食店開業に向けた競合&モデル店調査手法についてお話をさせて頂きます。
なお、今回の内容はYouTubeチャンネルでも解説していますので、よろしければ下記よりご覧ください。
(筆者作成)
商圏分析結果(前回記事で解説)を踏まえて候補物件への出店を決められたI社長、出店立地のエリア特性や、これからの人材不足を考慮して既存業態のイタリアンレストランを少しカジュアルにした業態で開業する方向性になりました。
そこで次に我々が行ったのは「競合店調査」と「モデル店調査」です。まずはこの2つの違いについて説明させて頂きます。
「競合店」とは、出店候補地の商圏内にある競合店となります。具体的にはGoogleマップや食べログ、ホットペッパー等で自店舗の業態で検索した際に表示されるお店が候補となります。今回のケースですと「エリア名×イタリアン」で検索した際には、バルや洋食店などイタリアン以外のお店も表示される事があります。こうした店舗に関しても“客単価が同等程度”であればお客様目線から考えると競合対象となりますので調査対象とします。
一方で「モデル店」とは、エリアに関わらず自社業態のモデルとなる全国にあるお店です。モデル店の情報収集方法としては、グルメポータルサイト、SNS、業界誌での調査や、全国の繁盛店情報に詳しい人(我々コンサルタントを含む)からの情報等があります。調査の対象店舗が決まったら次はいよいよ調査です。
【飲食店の調査を行う際に重要な視点「飲食店差別化の8要素」とは?】
当社のコンサルタントが飲食店への調査を行う際には「飲食店差別化8要素」という考え方に基づいて実施します。「飲食店差別化8要素」とは、自社や他社飲食店の強みを整理、ルール化する為の指標です。調査を行う際にはこうした指標を用いて行う事が重要です。飲食店の方と一緒に店舗調査に行くと希に「このお店よりうちのお店の方が美味しい!」とか「接客がいまいち!」などといった短所の指摘ばかりをする人がいますが、短所を指摘するだけの調査は素人がする事であって、プロであればしっかりとした指標を用いて調査を行う事が重要です。
上部に掲載したのが当社のコンサルタントが店舗調査の際に使用する「競合店/モデル店 差別化8要素調査票」です。調査ではこうした原票に基づいて調査を行います。飲食店の差別化において特に重要な要素である商品力、価格力調査においては、メニューブックの写真を撮った上でメニューカテゴリー、メニュー名、価格を全てデータ化します。さらに焼肉店など、商品(肉)の重量が他店差別化において重要な要素となる場合には、小型計量器を用いた重量調査等も実施します。我々はこうしたデータを全て整理して「競合店/モデル店調査報告書」としてまとめていきます。
<競合店/モデル店調査報告書の一例>
出店を成功させる為には競合店とモデル店の調査分析は不可欠です。こうした調査を通じて得られた情報をベースに次は業態コンセプトをまとめていきます。業態コンセプトの作り方に関しては、また次回の記事でお話をさせて頂きます。
これからお店を開業するオーナーさんは、どうしても「自分のお店は絶対に成功するはずだ!」という主観が強くなってしまう傾向があります。競合店、モデル店調査を行うことで、自身のお店の業態やコンセプト等を客観的に見られるようになります。
飲食店の出店を成功させる為には、この「客観的な視点」がとても重要なのです。
ぜひ皆さまも今回の記事を参考に競合店、モデル店調査をしてみて下さいませ。
最後までお読み頂きありがとうございました。
<筆者プロフィール>
飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント
代表取締役 三ツ井創太郎
https://www.threewell.co/business