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森保ジャパンと「王国」との一戦。現在のブラジルは「戦術ネイマール」にあらず。

森田泰史スポーツライター
ブラジルの中心選手であるネイマール(写真:ロイター/アフロ)

本番に向けて、試金石になり得る試合だ。

日本代表は6日にキリンチャレンジカップ2022でブラジル代表と対戦する。ネイマール、ヴィニシウス・ジュニオール、ガブリエウ・ジェズス、リシャルリソン、ラフィーニャ、カゼミーロ、チアゴ・シウバとスター選手が揃う「フットボールの王国」が、森保ジャパンと激突する。

■待望のビッグタイトル

ブラジルで背番号10を背負うのは、ネイマールである。

ネイマールはブラジル代表でのビッグタイトル獲得を欲している。2014年に母国で行われたワールドカップ(W杯)では、準々決勝で負傷して大会を後にした。再起を誓い、2016年のリオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得。だが2018年のロシアW杯ではベスト8敗退に終わった。

ドリブルするネイマール
ドリブルするネイマール写真:ロイター/アフロ

「ネイマールは成熟した。バルセロナでプレーしていた時、私が代表の監督に就任した頃は、サイドに張り付いてプレーしていた。スピード、ドリブル、個人技でシュートを決めていた」

「ネイマールはプレーの習慣を改めた。ゴールを決めるだけではなく、チームメートのプレーを創造するようになった。現在の彼は、『門』であり『矢』でもある。ゲームメイクをして、フィニッシュに参加する。貢献度が高まった」

これはチッチ監督の言葉だ。

■戦術ネイマールではない

ただ、現在のブラジルは「戦術ネイマール」のチームではない。

【4−4−2】【4−3−3】【4−2−3−1】と複数システムが可変式に採られる。

直近の試合から分析して、守備時にはネイマールとリシャルリソンが「2トップ化」する。3ラインをコンパクトにして、フォー・フォー・ツーでブロックを組み、プレッシングの精度を高める。

攻撃時には、いくつかのパターンがある。

ネイマールが左WGに、ルーカス・パケタが左インテリオールになるパターン。

あるいは、ネイマールがハーフスペースにポジションを取り、パケタがサイドに張り出すパターンだ。

このネイマールがハーフスペースに入った時は相手としては要注意だ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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