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福岡の超濃厚豚骨がラーメン博物館を卒業! 福岡では食べられない幻のラーメンとは?

山路力也フードジャーナリスト
福岡の人気店『八ちゃんラーメン』が『新横浜ラーメン博物館』から卒業する。

日本初のフードテーマパーク『新横浜ラーメン博物館』とは

1994年の開業以来、国内外で人気を集め続けている『新横浜ラーメン博物館』。
1994年の開業以来、国内外で人気を集め続けている『新横浜ラーメン博物館』。

 全国の人気ラーメン店が集結する施設『新横浜ラーメン博物館』(神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 代表取締役 岩岡洋志)は、日本初の「フードテーマパーク」として1994(平成6)年に開業。これまでに出店した店舗数は50店舗(再出店は除く)、総来客数は2,800万人にものぼる。外国人観光客の来訪も多い、日本を代表する観光スポットだ。

 「全国各地のラーメンを飛行機に乗らずに食べに行ける」をコンセプトに、「日清チキンラーメン」が発売された1958(昭和33)年当時の街並みを施設内に再現。その街並みに馴染むように全国各地の人気ラーメン店を配置し、定期的に店舗を入れ替えて様々なラーメンを提供し続けることで、開業から30年近く経った今でも多くのラーメン好きや観光客が訪れ続けている。

 施設に誘致するラーメン店は「館長」の岩岡さんをはじめ、スタッフが日本全国を食べ歩いて厳選した店ばかり。断られても諦めずに何度も足を運ぶのがラー博の熱意。一度この店と決めたら粘り強く出店の交渉を重ねていく。その熱意によってこれまで数々の地方の老舗や名店の出店が実現して来たが、その象徴ともいえる一軒が、2019年から出店している福岡の人気店『八ちゃんラーメン』だ。

25年口説き続けた『八ちゃんラーメン』

福岡市薬院にある『八ちゃんラーメン』。支店を持たずにこの一軒のみを営業してきた。
福岡市薬院にある『八ちゃんラーメン』。支店を持たずにこの一軒のみを営業してきた。

 福岡市薬院で1968(昭和43)年に創業した老舗『八ちゃんラーメン』は、福岡はおろか全国でも屈指の濃度を誇る「超濃厚豚骨ラーメン」の店。専用の羽釜を使って大量の豚骨を長時間かけて炊き上げる豚骨スープは、髄が溶けるまで煮込んだパンチのある味わい。一度食べるとクセになる味わいを求めて、深夜遅くでも行列が出来る人気店だ。

 新横浜ラーメン博物館が最初にオファーしたのは施設の開業前、1993年のこと。「支店は一切出さない」という店主の信念があり断られていたが、諦めることなく定期的に足を運び続けていた。そして2014年に店主が二代目に代替わりしたことから、また新たにオファーを重ねていった結果、その熱意と想いに耳を傾けてもらえるようになり、2019年に「平成最後の新店」としてついに出店を果たした。

3年8ヶ月の営業を終えて10月末に「卒業」

10月末で『新横浜ラーメン博物館』を卒業する『八ちゃんラーメン』。
10月末で『新横浜ラーメン博物館』を卒業する『八ちゃんラーメン』。

 新横浜の地においても、その濃厚でパンチのあるラーメンは福岡と変わらずに提供。豚骨の旨味があふれる超濃厚なラーメンは、多くのファンを魅了し続けた。そんな『八ちゃんラーメン』が、2022年10月30日をもって3年8ヶ月の営業を終えて施設を「卒業」することとなった。

 「卒業に対しての想いは八ちゃんラーメンに関わらず、もっといていただきたいという想いがあります。八ちゃんの場合は、やはり四半世紀かかって出店していただいたことが一番の思い出です。また本店は夜からの営業のため、あの八ちゃんが昼間食べられるのは世界中で新横浜ラーメン博物館しかありません」(新横浜ラーメン博物館 エグゼクティブエキスパート 中野正博さん)

横浜への思いを込めた卒業ラーメンとは?

卒業を記念して作られた「浜八ラーメン」は、新横浜ラーメン博物館でしか食べられない。
卒業を記念して作られた「浜八ラーメン」は、新横浜ラーメン博物館でしか食べられない。

 新横浜ラーメン博物館の卒業が決まった『八ちゃんラーメン』では、関東初出店となった横浜の地に感謝の気持ちを込めて、横浜の調味料や食材を使用した卒業ラーメン『浜八ラーメン』(1,150円/10月30日まで/1日80食限定)を提供している。新横浜ラーメン博物館限定のオリジナルで、福岡の本店でも食べることが出来ない幻のラーメンと言えるだろう。

 八ちゃん自慢の濃厚なスープに横浜伝統の「横浜醤油」と九州のたまり醤油を使用した醤油ダレを合わせた一杯は、キレのある醤油の風味と豚骨の旨味がガツンと効いた濃厚な味わいの豚骨醤油ラーメン。チャーシューは神奈川県産「はまぽーく」のバラ肉と従来の肩ロース肉を使用。特製の胡麻ペーストで味の変化も楽しめる。

1日80食の限定メニューなので、真っ先に食べておきたい。
1日80食の限定メニューなので、真っ先に食べておきたい。

 「2019年3月から今日までたくさんのお客様に支えていただき、残りわずかな期間となりました。たくさんの暖かいお声がいつも厨房にいる自分にも届いております。本当にありがとうございます。こんな博多の豚骨ラーメンもあるんだと、楽しんでいただければこんなに嬉しいことはありません。最後の一杯まで、気持ちを込めて作ります。大変お世話になりました!ご来店心よりお待ち申し上げます」(八ちゃんラーメン新横浜店 店長 中谷睦さん)

※写真は筆者の撮影によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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