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ラーメン1杯を大人2人でシェア? 民度の低い客たちがラーメン店を潰す

山路力也フードジャーナリスト
ラーメン店でラーメンを頼むのは当たり前。

人気ラーメン店で客とのトラブル

ラーメン店は薄利多売のビジネスモデル。
ラーメン店は薄利多売のビジネスモデル。

 ラーメン店における客とのトラブルが絶えない。原因はいくつかあるが、客のマナー違反に起因するものも少なくない。今回インターネット上で物議を醸しているのが、埼玉県の人気ラーメン店でのトラブル。カップルで来た2人組の客がラーメン1杯だけをオーダー。店側から一人1杯をお願いしたところ高圧的な態度を取られた、というものだ。

 この店はいわゆる「ガッツリ系」のラーメンを提供する店で、一般的なラーメン店よりも量が多い。お腹が空いていない女性とであれば、シェアしても十分足りる量だろう。しかしそれをやってしまっては、ラーメン店の商売が成り立たない。そのカップルの2席からは1席分の売り上げしか立たないからだ。

 実はこの「ノーオーダー」の客というのは今に始まった事ではない。かつてはインバウンド客などでたまに見られることはあったが、最近では日本人でも注文をしない客が増えている。飲食店に入って注文をしない、という行為に違和感を覚えない人たちが一定数いるという事実に愕然とする。ここまで日本人の民度は低くなってしまったのか。

なぜ一人1オーダーしなければいけないのか

サイドメニューやドリンクもあるじゃないか。
サイドメニューやドリンクもあるじゃないか。

 インターネット上で「ラーメンは一人1杯が当たり前なのか」といった議論が起こっているのも驚きだ。ラーメン店でラーメンを一人1杯頼むのは当然のこと。何かしらの事情でそれが難しい場合は、そもそもラーメン店に入らないとか、サイドメニューやドリンクなどラーメン以外のオーダーをするのは当たり前のことだ。

 言うまでもなく、ラーメン店はラーメンなどの商品の売り上げでビジネスが成り立っている。そして一般的に客単価は低く設定されており利益も低い。店舗は狭く席数も限られている。薄利多売のビジネスモデルのラーメン店において、売上が立たない無駄な席が発生するのは死活問題だ。

 さらに昨今の原価高、原油高、人件費高騰などで、ただでさえラーメン一杯から得られる利益は少なくなっている。そしていわゆる「1,000円の壁」によって、ラーメンの売価もそこまで高くはつけられない事情もある。ラーメン店を取り巻く状況はコロナ禍以降、格段に厳しくなっているのが現実なのだ。

ラーメンを食べないのなら店に入るな

このままではラーメン店が潰れてしまう。
このままではラーメン店が潰れてしまう。

 まず大前提として、ラーメン店はカフェや居酒屋とは違い、ラーメンを食べるための店だ。ならばラーメンを食べない人は入るべきではない。今回のケースのように自分はお腹が空いていなくて相手がラーメンを食べたい時は、食べたい人一人で店に行ってもらうか、居酒屋など他のお店で我慢してもらうべきだ。

 それでもどうしてもラーメンを食べたいと言われて仕方なくラーメン店へ一緒に行くのであれば、お店の人に事情を伝えて麺の量をを減らしてもラーメンを頼むとか、お酒やサイドメニューなど何かしら売り上げに繋がるものを注文するべきだ。お店に対しての配慮が伝わっていれば、ラーメンを頼まなくとも文句は言われないだろう。

 一人では食べ切れないような小さな子供ならばさておき、大人2人でラーメン1杯をシェアするなどもってのほか。薄利多売のラーメン店にとって、本来売り上げが立つはずの席で注文をしない客が一定時間占有するのはお店によっての大いなる機会損失、営業妨害と言っても良いくらいだ。食べないのであれば店には入らない。食べない人は客じゃないのだ。

※写真は筆者によるものです(写真と本文の内容は無関係です)。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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