「番犬」の「番犬」になろうとする日本
フーテン老人世直し録(141)
弥生某日
主人を守る役目の「番犬」のため、主人が「番犬」の「番犬」役をやらされる事態になる事がはっきりしてきた。
安倍政権が集団的自衛権の行使容認を今国会で決めようとしている事は、基地の提供と資金援助という「エサ」の見返りに戦後日本の「番犬」役をやらせてきたアメリカに、これからは「エサ」だけではなく、日本の自衛隊を差し出してアメリカの「番犬」役をやらせる事を意味している。
公明党との間で集団的自衛権行使容認に伴う安全保障法制の取りまとめを行った自民党の高村副総裁は、3月26日から訪米してカーター米国防長官に取りまとめの内容を報告した。カーター長官からは「歴史的な取り組み」と高い評価を受けた。アメリカの思惑に忠実だったからである。
次いで高村氏は戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、米軍と自衛隊との協力範囲を地球規模に拡大させる考えを表明した。アメリカが「平和のため」と称して行う軍事行動に日本の自衛隊はどこまでも協力する事を明らかにしたのである。さらに高村氏は中国の軍備増強に備えるため、アメリカのアジア重視政策を日本が第一に支える考えを表明し、ここでもアメリカに忠実な姿勢を示した。
これに呼応するようにシアー米国防次官補は、「東シナ海だけでなく、南シナ海でも日米は共通の利害を有している」として、フィリピンやベトナムと中国が領有権を争う南シナ海の周辺地域で日米の軍事協力を進展させる方針を明らかにした。そして安倍総理の訪米までにそうした方針を日米防衛協力の指針(ガイドライン)に盛り込む事に期待を示した。
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