訳の分からぬ国内から目を転ずれば世界は「3月大乱」
フーテン老人世直し録(140)
弥生某日
4年前の3月11日、「3月大乱」というブログを書いている時に東日本大震災が起きた。「3月大乱」はもちろん大地震を予想したものではない。前年の参議院選挙に敗れて「ねじれ」を作りだした菅政権を民主党は交代させず、予算を成立させようとしている非常識によって政治に「大乱が起こる」と書いていたのである。
あの地震がなければ菅政権は行き詰まった筈である。大震災によって菅政権は延命するが、しかし大震災によって菅政権はさらなる無能ぶりを国民にさらけだす事になる。4年前の3月はそういう月であった。
今年の3月は訳の分からない政治が続いている。「政治とカネの問題」で農水大臣が突然辞任し、安倍総理は「説明責任をしっかり果たす」と力説したが、しかし全く「説明責任」は果たされていない。にもかかわらず野党は下村文科大臣やNHK会長などの追及にやっきになっている。首を取りやすいと踏んだのだろうか。フーテンは安倍総理をはじめとする閣僚に対し税金を還流させた疑いをきちんと晴らす説明を求めるべきだと思う。「違法性がない」とか「知らなかった」ですまされる問題ではない。
一方、与党内で行われている安保法制論議はまるでフーテンの理解を超えている。憲法改正をやらずに集団的自衛権の行使を認めようとするから、外国を守る話が自国を守る話にすり替わり、戦争をする話が平和を守る話になる。そんなアホな議論を聞いているとこちらの頭がおかしくなる。
3月の国内政治は訳の分からないことだらけだが、しかし世界に目を転ずれば3月はまさに「大乱」である。アメリカ主導の世界秩序が重大な挑戦を受けて崩壊し始めているのである。一つはロシアのプーチン大統領による「核準備」発言、もう一つはイギリスをはじめ先進各国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加表明した事である。いずれも冷戦が終結した時点では考えられなかった歴史的出来事だと思う。
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