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豚骨の街福岡で話題沸騰!「3色」の家系ラーメンとは?

山路力也フードジャーナリスト
『らーめん三刀流』基本の一杯「白流らーめん」。

個性的な家系ラーメンの注目店

九州産業大学の最寄りに2021年4月オープンした『らーめん三刀流』。
九州産業大学の最寄りに2021年4月オープンした『らーめん三刀流』。

 「家系ラーメン」とは横浜で生まれたラーメンのこと。濃厚な豚骨醤油味のスープに鶏油が浮き、麺は幅広い形状の太麺。全国各地で多くの家系ラーメン店が人気を集めているが、福岡にも家系ラーメン店が増え始めている。

 福岡市東区香住ヶ丘。通称「和白通り」と呼ばれる国道495号沿いにオープンした『らーめん三刀流』(福岡県福岡市東区香住ヶ丘2-11-28)も家系ラーメンの店。2016年の創業以来、京都を中心に多数店舗を展開する『麺家 あくた川』(本店:京都府京都市上京区上立売東町44)の新業態店。店主の芥川英司さんは、元々大分の出身ということもあり念願の九州への初出店を果たした。

 京都の1号店は同志社大学の目の前にオープンし、以降も立命館大学や京都大学など、大学の目の前に次々とオープンする戦略を取ってきた『あくた川』が、福岡での初出店場所に選んだのは九州産業大学の目の前。学生客のファンをつかむ戦略は福岡でもヒット。店内にはすでに多くのリピーター客の名前が掲げられており、早くも福岡の人たちに受け入れられている。

家系ラーメンの新しい可能性を追求したい

大量の骨で炊き上げる濃厚なスープに、家系御用達『酒井製麺』の麺を合わせる。
大量の骨で炊き上げる濃厚なスープに、家系御用達『酒井製麺』の麺を合わせる。

 『らーめん三刀流』の家系ラーメンは、一般的な家系ラーメンとはやや設計が異なり、より豚骨や鶏ガラの髄の旨味を凝縮させた濃厚なスープに仕上げることで、豚骨ラーメンに慣れ親しんでいる福岡の人の味覚に合わせた。しっかりと網で漉すことによりきめ細かでなめらかな口当たりになったスープに鶏油が浮かび、さらに深みのある味わいを生み出した。そして麺は家系御用達の『酒井製麺』の中細麺を使用している。

マー油の浮いた「黒流らーめん」と辛い味わいの「赤流らーめん」。
マー油の浮いた「黒流らーめん」と辛い味わいの「赤流らーめん」。

 芥川さんが福岡進出にあたり、新たに考えたのが3つの味で家系ラーメンを提供すること。ノーマルの家系ラーメンを「白流」と名付け、さらに焦がしニンニク油のマー油を浮かべた「黒流」や、辛い味わいの「赤流」など、他の家系では「邪道」とも言われるようなバリエーションだが、家系ラーメンの新しい可能性を追求したいと、これまでの家系ラーメンにはなかった手法を大胆に採り入れた。味が3種類あるので店名も『三刀流』と名付けた。

 芥川さんは居酒屋などいくつかの飲食店で経験を積む中で、自分が大好きなラーメン店で働きたいと思った。それが東京にある家系ラーメン店『武蔵家』だった。店長やマネージャーとしての仕事が認められて、4年の修業を経て京都で念願の独立を果たした。自身の店『麺家 あくた川』は京都屈指の行列店になった。次々と支店も展開し、海外にも出店するまでになった。そして念願の地元九州への凱旋を果たしたのだ。

『らーめん三刀流』店主の芥川英司さん。
『らーめん三刀流』店主の芥川英司さん。

 「僕が東京で大好きになった家系ラーメンを、地元九州の人たちにも食べて欲しいと思ったんです。博多ラーメンだけではないラーメンの美味しさや楽しさを感じて貰いたくて、福岡への出店を決めました。味はもちろん接客ももっと磨いて、福岡の方達に愛される店にしていきたいです。そしていずれは僕の地元大分をはじめ、九州全県にお店が出せたら嬉しいですね」(らーめん三刀流 店主 芥川英司さん)。

※写真は筆者によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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