軍事でも経済でも「武装放棄」して被占領体制を続けようとする日本
フーテン老人世直し録(177)
神無月某日
安保法成立に続くTPPの大筋合意で、安倍総理の日本は軍事と経済の両面で米国への隷属度を強める事になった。70年前に被占領国となった日本は、歴代政権が自立への道を探ってきたが、占領体制を維持したい米国を前に安倍政権は自ら進んで「武装解除」を申し出たのである。
TPPは「交渉内容を明かさないことが前提」とされ、我々が交渉の全容を知る事はできないが、報道されている事実からみて、日本が他の国に比べ国益を優先する交渉に力を入れたとは思えない。交渉の最終局面、各国が国益をかけて最後の最後まで粘る中、日本だけは「行司役」と称して米国主導の交渉妥結に協力していた。
それもそのはず、安倍総理は昨年のオバマ大統領訪日時に早々に米国の要求を受け入れてしまい、その後は「国益を守った」という言い訳づくりと、「頑張っている」という演技に力を入れてきたからである。この政権の頭には「米国の要求に応える事が国益」という一点しかないようだ。
しかし米国の方は「日本を被占領国家にし続けておくこと」が国益であり、その限りにおいて日本には協力するが、日本に協力する事が不利益を生むと分かれば、直ちに切り捨てる事にしている。そして「切り捨てる事が可能な状態」とは、それも日本を「被占領国家にし続けておくこと」なのである。
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