国民と国会から逃げる逃げる安倍政権に光明はあるか
フーテン老人世直し録(190)
神無月某日
野党5党は憲法53条の規定に基づき臨時国会召集の要求書を衆参の議長に提出した。憲法は臨時国会について「いずれかの院の議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」としており、野党の要求はその条件を満たしているが、召集を決めるのは内閣で、今のところ安倍政権は召集に後ろ向きである。
表向きの理由は総理の外遊日程のためとされているが、仮に国会を開けば極めて乱暴な形で成立させた安保法の問題が取り上げられる他、TPPの内容や新閣僚のスキャンダルを野党が追及するのは必至で、全く得にならないと政府・与党は判断しているからである。
安倍総理はこれまで安保法が国民の理解を得られていない事を認め、「丁寧に説明を尽くす」と繰り返し表明してきたが、実のところその気はさらさらなく、ひたすら国民の目を他にそらせて記憶から消し去ることを考えている。外遊はそのために都合の良い政治日程でそれ以上の意味はない。
この姿勢は、安保法を国会で議論し国民に説明するより前に、米国議会で成立の時期を約束したのと同じで、安倍政権は国民や国会より他国に顔が向き、他国に喜ばれる事が国民に喜ばれる事よりも上位にある。
他国は日本の国益が犠牲となり自国の国益が得られれば喜ぶ。従って他国から評価される政治家は国益を損ねている場合が多く、自国の利益を優先する政治家は他国から批判される事が多い。本物の政治家は、自国の利益のため他国から批判されても、その批判が自国の利益を損ねるまでには拡大させず、ギリギリのところでかわす術を心得ている。
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