「安保」と「沖縄」は民主党政権の失敗を覆せるか
フーテン老人世直し録(179)
神無月某日
翁長沖縄県知事は辺野古新基地建設のための埋め立て承認を取り消した。しかし安倍政権は埋め立てを続行する方針である。「日米同盟」にしがみつく以外に道はないと考える政権に米国の顔は見えても国民の顔は見えない。沖縄の基地問題は安保法制と並んで日本国内の分断を強め、これからの政治闘争の鍵となる。
ソ連崩壊後、唯一の超大国となった米国は世界を一極支配しようとしたが、そのやり方が世界各地で反発を招き、四半世紀後の現在、世界の混乱は増大する一方である。つまり軍事力を背景に金融と情報の力で米国の価値観を世界に広める戦略は、イスラム過激派を生み出しただけでなく、ロシアと中国を接近させ、EUの自立を招き、米国の孤立化に拍車をかけた。
その中で日本だけはひたすら米国に従ってきたが、安倍政権のかつてない従属姿勢の強まりにより、国民の中の反米感情は火がつく一歩手前である。つまり米国の命令通りに安保法制を作り上げ、国民の理解がないまま国会で強行可決した姿勢は、沖縄県民の選挙で示された民意を無視して基地建設を強行する姿勢と同じでこの二つはダブって見える。
国民が安倍政権の後ろの米国に目を向けるようになれば、米国は反米感情に火がつく前に安倍政権を切り捨て、これまでとは異なる顔を見せるようになるだろう。そうしなければ米国はさらなる孤立化に陥るし、戦後の日米関係を見てくれば米国はそのように日本の総理を使い捨てにしてきた。
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