10代の若者が参加する初の選挙を民主主義の原理を守る選挙にすべし
フーテン老人世直し録(230)
水無月某日
来月投票の参議院選挙に向けて政治の世界は走り出しているが、これは政権交代のかかる衆議院選挙ではない。仮に与党の候補者が全員落選しても政権交代にはならない選挙である。
ところが2014年の衆議院選挙で消費増税の先送りを期限付きで公約した安倍総理が、再び期限を延長するのに公約破棄の責任を取らず、参議院選挙で「信を問う」と発言したため、民主主義の原理を狂わせるおかしな選挙戦が展開されようとしている。
選挙権年齢が18歳に引き下げられた最初の選挙で、民主主義の原理をおかしくする選挙をやるのは問題である。次代を担う若者たちの教育にならないと思うので、参議院選挙とは何かを公示前に確認する必要がある。
冒頭で書いたように参議院選挙は与党候補者が全員落選しても政権交代にならない。したがって選挙結果がどうでも安倍政権の政策ががらりと変わることはない。ただ与党が改選議席の過半数を割ることになれば国民が与党の政策を支持していないことの証明になる。
与党は引き続き政権を維持するが、自分たちの政策の何がいけないのかを反省し、政策の修正を行わなければならなくなる。そこに参議院選挙の意味がある。つまりアメリカでいえば4年ごとに行われる大統領選挙の中間で必ず行われる議会選挙に似ている。
中間選挙で米国民が判断材料にするのは、それまで2年間の大統領の実績である。それに満足であれば大統領の政党を勝たせて政権基盤を強化する。不満であれば野党に投票して政権基盤を弱め反省を促す。大統領はその国民の声を受けてその後2年間の政策に反映させる。これが民主主義にかなうやり方だと思う。
従って10代の若者たちが初めて参加する今回の参議院選挙は、2014年の衆議院選挙以降の安倍政治に対する中間評価が目的の選挙になる。2014年の選挙に参加していなかった若者にはそれ以前からの安倍政治を評価するチャンスと捉えても良いと思う。
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