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芸能人も「いきなり結婚」!「婚活タイパ主義」の現状

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:つのだよしお/アフロ)

■2024年は、恋愛のプロセスを飛ばす「いきなり結婚」を目指す動きが顕著に

2024年、芸能界では多くのサプライズ結婚が報じられました。例えばKinKi Kidsの堂本剛さんとももいろクローバーZの百田夏菜子さんが交際報道なく結婚を発表し、多くのファンを驚かせました。また、女優の高畑充希さんと俳優の岡田将生さんの結婚も大きなニュースとなりました。芸能界においては、コロナ禍以降、リスクの少ないお家デートが一般化したり、ゲームなどのインドアデートの多様化も背景にあると言われていますが、はたから見ればサプライズです。こういったニュースも影響してか、若い世代を中心に、恋愛プロセスを飛ばして「いきなり結婚」を目指す人が増えています。

実際、婚活現場でも20~30代の方が、「効率よく無駄なく結婚相手を探したい」と考え、結婚相談所を選択する事例が増えました。恋愛経験が少なくても、仕事で多忙でも、短期間で結果を出せることがその理由です。お金は多少かかるものの、時間が短縮できるので自分の時間を有意義に使えるという意味で「タイパがいい」と考える人が多くなったようです。

そこで今回は、「婚活タイパ主義」に伴って2024年に多くお聞きしたお悩みを振り返り、2025年からの婚活に活かして頂ければと思います。

■多かったお悩み①:「婚活と仕事の両立がしんどい」

時間的な余裕がない中で、短期間の成婚を目指す方が多く、「婚活と仕事の両立がしんどい」という声を2024年は非常に多く聞きました。

例えば37歳の経営者男性は、「マッチングアプリで婚活をしていたが、やりとりにすごく手間と時間がかかり、仕事との両立がしんどい」と当社にご相談にいらっしゃいました。その後ご入会されましたが、やはり多忙なため、なかなか自分からは積極的に動けませんでした。しかし、的確な紹介を行ったことでスムーズにお見合いが成立し、「積極的に申し込みはしないが、紹介された相手には会ってみる」というスタンスで、交際に進まれました。またアドバイスをすると素直に受け入れて改善されたので、結果33歳の女性と3カ月という短期間で成婚されました。

「婚活で適切なお相手の選び方がわからない、しかも時間がない……」といった課題に直面すると、つい面倒になって婚活を諦めてしまったり、見た目や収入などの表面的な条件だけで相手を選んでしまいがちです。しかし、第三者のサポートがあるとうまくいく場合もあるので、ぜひ自分だけでは難しい場合でも、諦めずに信頼できる方に相談されることをお勧めします。その時に重要なのは、まず自分の結婚生活の希望プランを立ててみること。例えばどんな夫婦でありたいか、どこに住みたいか、家事の分担はお互いにどれくらいの比率でやるのかなど、ご自身の希望をはっきりさせ、価値観やバックグラウンドが似ているお相手を探すことが重要です。そういった相談を信頼できる第三者にすることで、合いそうな方を紹介してもらえたり、打開策が見つかる場合があります。

当社を利用した婚活男性からも、「自分で動かなくても、的確な紹介を受けられたので大変助かった」というコメントをいただきました。

■多かったお悩み②:「時間だけでなく、心の負担も大きい」

結婚にかかる時間だけでなく、心の負担も大きいというご相談も多くありました。例えば急ぐあまり手軽なアプリで片っ端からアプローチしたものの、やりとりが途絶えてしまったなど「無駄に傷ついた」という人や、「失敗が怖くなってアプローチが出来なくなった」という人もいらっしゃり、「仕事で忙しく気を遣う上に、私生活でも心を乱したくない」という背景があるようです。コロナ禍で人と話す機会が減ったためか、コミュニケーションや相手の気持ちをお推し量ることに元々苦手意識がある方も多く、大きな心理的な負荷がかかるのでしょう。

ある30代の理系出身男性も、人とのやりとりが苦手な1人でした。当社で活動を開始されましたが、お相手から断られることが続き、心が折れかけているようでした。そこで、「あなたが悪いわけではないし、合う人が1人見つかればいいのだから」と励ますのはもちろん、お相手のその時のお見合い状況や断られた原因を、様子を見ながらお伝えし続けました。その方は、「やはり困ったときに相談して、失敗も成功も分かち合える壁打ち相手がいると、心の負担がかなり軽減できる」とおっしゃっていました。

■多かったお悩み③:「コミュニケーションの取り方がわからない」

婚活は単なる出会いの場ではなく、相手との関わり方を学び、人間関係スキルを向上させる機会にもなっています。前述したようにコミュニケーションに苦手意識がある方も増えているので、「とにかく短期集中で数をこなしてマッチングは出来たが、いざ会ってみたらコミュニケーションの取り方がわからず行き詰ってしまった」というお悩みも多い状況です。

例えば、私が担当したあるカウンセリングでは、「相手の写真が実物と違いすぎたので、本人に注意しようと思うんです」と話す女性会員に対し、「それはやめておきましょう」と指摘しました。「お相手に注意をする」というのは、伝え方やタイミングがとても難しいことですし、直接指摘することでトラブルになる可能性もあります。そこでそういったことは、私達仲人やアドバイザーからうまく伝え、問題を解決しています。

ただ、その会員に対しても、「『注意をする』というのは、どういう風に言おうと思いましたか?」とお聞きし、「それはお相手が気分を悪くするので、言ってはいけない言葉です」「もし仮にどうしても直接伝えたいことが今後出て来た場合は、言い方を変えましょう」と話して、言葉を選んでお伝えしました。そうすることで、婚活を通じてコミュニケーションの練習を積むことができます。こういった「相手に何を言えば良いか」を学んだ経験が、結婚後の生活にも役立ったと、成婚された方から感謝の言葉も多くいただきました。

■効率性と内面的な充実を両立させる選択を

このように2024年の婚活現場では、効率性を重視する現代人のライフスタイルと、それに伴う問題点が見えました。ただお伝えしたいのは、婚活は、「とにかく早く結婚したい」と時間の短縮を目指せばいいというものでもないということです。婚活を通じて得られるのは結婚相手だけではなく、自分自身の成長や人間関係スキルの向上といった付加価値も大きいからです。効率性と内面的な充実を両立させることが重要です。

価値観や条件が合わない相手では、どれだけ急いで多くの人と会っても結局うまくいかないのです。ですから、やはりまずは自分自身が望む未来をしっかりと考え、信頼できる人に相談して、正しく婚活を進めていただきたいと思います。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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