【Yahoo!ニュース 個人】6月の月間MVAとMVCが決定
■Yahoo!ニュース 個人、6月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました
社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選6本の記事と1本のオーサーコメント、筆者の受賞コメントをあわせて紹介します。
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6月のMVA
■「過去よりも未来」…北朝鮮との対話を歓迎する朝鮮戦争戦死者の遺族たち(徐台教)
筆者による受賞コメント:汗をかきながらの取材でしたが、MVAを受賞できてとても嬉しいです。今年に入って南北朝鮮・米国・中国に共有されているのが、停戦状態という不安定な朝鮮戦争を平和協定を結ぶことによって終戦させるという大きな目標です。韓国では停戦から65年が経ち「反共(反北朝鮮、中国)」だった方たちの中にも、思想や体制の優劣から離れ、現実的な平和を望む声が高まっているのを感じます。参戦者や第一世代の遺族が存命のうちに決着を見たいという、生の韓国市民の意識を知らせることができたでしょうか。機会があれば、韓国以外の朝鮮戦争参戦国で市民の声を聞いてみたいところです。
(徐台教)
選出理由:米朝首脳会談を前に朝鮮戦争遺族にその胸中を取材した記事です。現地で継続的に取材をしてきた筆者ならではの深さのある内容で、会談の裏側にあるリアルな想いを伝えます。
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■“儲からない”ビジネスが続くヒミツとは? ~中国発!シェア経済の実態(宮崎紀秀)
筆者による受賞コメント:シェア自転車は、排気ガスを出さない「エコ」な乗り物と称して、日本にも進出しました。確かにアイデアも技術も素晴らしいけれど、山積みにされた廃棄自転車は、シェア自転車さえなければ、浪費されなかったはずの資源。どう考えても環境に優しくありません。シェアビジネスに感じたそんな胡散臭さを、事実で示せないか、と進めたのが今回の取材です。
(宮崎紀秀)
選出理由:自転車を中心に中国を席巻している「シェア経済」について、課題の部分を丹念に掘り起こしています。山盛りの廃棄自転車の発生や死亡事故、大量倒産…便利さやビッグデータと引き換えに大切なものを失ってもいいのか、著者の課題意識が光る一本です。
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■福岡のIT講師殺害事件。「Hagexさんは容疑者とネット上のやりとりでトラブルがあった」は本当か?(篠原修司)
筆者による受賞コメント:事件が起きた当初の報道はインターネットがきっかけとなったせいか、「ネットのトラブルが原因」という「被害者にも責任がある」かのようなものばかりでした。私はこのような報道では死者の名誉が傷つけられると思い、今回この記事を執筆しました。また、記事を書いたことがきっかけで複数のマスコミ関係者にも情報提供でき、事実を伝える手助けができたことを嬉しく思っています。
(篠原修司)
選出理由:この事件の報道が誤解を招くものが多いという課題感から、筆者のネット上のデマ検証の知見を活かしてまとめた記事です。事象を一つ一つ丁寧に検証することで事実関係をわかりやすく整理していきます。
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■スルガ銀行の何がいけないのか(森本紀行)
筆者による受賞コメント:これはスルガ銀行の問題を論じたものではありません。社会的な必要性を超えて、金融が自分自身で需要を創造するとき、必ず危険な事態を生み出すということを述べています。実は、10年前の米国で起きたサブプライム問題や、昭和の不動産バブルと同じ構造なのであって、スルガ銀行だけの特殊な事案ではないことを強調したかったわけです。
(森本紀行)
選出理由:破産したスマートデイズ社のシェアハウス事業で、スルガ銀行の顧客が多額の融資を受けてオーナーになっていた問題について、プロの視点でタイムリーに解説。金融機関が顧客本位ではない融資をなぜしてしまうのか、わかりやすく説明しています。
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■「大迫半端ないって」。名言が生まれる前から半端なかった男・大迫勇也(安藤隆人)
筆者による受賞コメント:今年の流行語大賞の候補となるまでに広がりを見せた「大迫半端ない」。大迫選手は、この言葉が生まれる前からずっと『半端なかった』のでした。筆者も高2から劇的に伸びて来た彼に驚愕し、何度も『半端ないな』と思うプレーを目の当たりにして来ました。中でも印象的だったのが、コラムで取り上げた高3秋の高円宮杯全日本ユースでの鹿児島城西VSガンバ大阪ユースとの一戦。延長戦の末に4−3で勝利した鹿児島城西。大迫選手は圧巻のハットトリックを達成しました。この試合の大迫選手は『もう手がつけられない』状態で、2点目のゴールは彼のこれまでのゴールの中でもベストゴールという印象を筆者は抱いていた。『半端ない』と賞賛された今だからこそ、あの時の『半端なかった』大迫選手を描きたいと思い、当時のノートと記憶をひっくり返して、当時の情景を頭に浮かべながら書きました。大変多くの人に読んでいただき、心から感謝を申し上げます。
(安藤隆人)
選出理由:今年の流行語大賞の最有力ともいわれる「大迫半端ないって」。その名言が生まれるよりさらに前から、大迫は「半端ない」選手だったといいます。プロ入り前から追い続けた長年の取材が光ります。初々しい大迫の写真も魅力的です。
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■続く「CT見落とし」なぜ起きる? 医師の視点(中山祐次郎)
筆者による受賞コメント:この記事では、立て続けに報道された「CTレポート見落とし」の原因を分析し、対策を提言した。医療についてのニュースは、「現場の医師なら誰もが知っているが、それ以外の人には意味不明」なものが多い。しかし、情けない話だが医者の立場ではとても書きづらい。分析は同業者批判に繋がるからだ。それでも、こうして取り上げてくれることでまた書く勇気をいただく。これからもリスクをどっさり取りながら書いていきたい。
(中山祐次郎)
選出理由:相次いだCT検査レポート見落としの発表を受けて、レポートとは何か、どうして見落としがおきてしまうのか、どう防ぐべきかを解説。医師である筆者ならではの具体的な内容で、一般にあまり知られていない医療現場の抱える問題点をわかりやすく伝えました。
6月のMVC
■『日大教員44・6%が署名…「報復が恐ろしい」「怖くてできない」の声も』の記事へのオーサーコメント (石渡嶺司)
筆者による受賞コメント:このたびは個人月間MVCに選出していただきありがとうございます。記事を読んで、日本大学教職員組合の組織率の低さ、それでいて奮闘していることをコメントに盛り込もうと考えました。結果として日大騒動はまだ収束していませんが、今後も関連記事・コメントを発信していきます。もちろん、日大騒動以外でも。
(石渡嶺司)
選出理由:アメフト部の悪質タックル問題に端を発し理事長らの辞任などを求める要求書を提出した日大教職員組合について、その組織率の低さを他大学と比較しながら解説。日大における組合と経営側の関係性がわかる、読者に新たな情報を提供する付加価値高いコメントです。