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五輪男子サッカー。スペイン、メキシコにあって日本にはない覚悟、こだわり、哲学

杉山茂樹スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 五輪の男子サッカー。今回の東京五輪でこれまで、最も高い視聴率をマークしているそうだが、筆者としては、うれしさ半分という感じだ。それは日本のスポーツ界にとって、歓迎すべき話だろうか。男子サッカーの裏番組で文字通りの世界一決定戦が行われていれば、そちらを視聴した方が、スポーツの普及発展には繋がると思う。五輪サッカーは世界一決定戦ではない。W杯のステイタスを10とすれば1。先日行われた準決勝、日本対スペインも世界的な関心は。さぞ低かったに違いない。

 日本のサッカー人気が、世界の平均より高いならば、これは自然な姿になるが、実際は世界平均を下回る。それでもなぜ、五輪の男子サッカーの視聴率は、他の競技に勝るのだろうか。勝手に分析すれば、サッカーという競技が単純に面白いからだと考える。何となく見始めたら、気がつけば、飽きずにそのままずっと見続けてしまったという人が多数派はではないだろうか。

 サッカー界は自信を持つべきだと思う。好成績を残すことが、競技の人気維持に不可欠な要素ではない。成績にこだわる姿勢も重要だが、それとは別の視点を携えることも重要になる。サッカーの魅力、娯楽性を伝えることもわすれてはならない。お茶の間観戦する視聴者に、可能な限りよいサッカーを追究する姿勢を見せて欲しい。

 スペイン戦の話をすれば、日本はそれなりに健闘した。スペインの攻撃をあと5分耐えることができれば、PK戦に突入していた。しかし、せっかくのこの機会である。攻めるスペイン、守る日本という構図そのものを覆して欲しかったとは筆者の感想だ。強豪と対戦すると、日本は「まず守りから入る」と言う。「しっかり守って」と言えば、次に続く言葉は「カウンター」あるいは「速攻」になる。

 だが、そろそろこのパターンと、卒業というか、訣別するときを迎えているのではないか。今回の五輪はホームだ。しかも、相手は日本の高温多湿な気候に慣れていない。多大なるホームの利が日本にはあった。過去と訣別する絶好の機会だったのだ。

 日本対スペインで想起するのは、2001年4月、スペインのコルドバで行われた親善試合だ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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