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森保監督に望まれる、全員が活躍する選手に優しい采配

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

 吉田麻也は、五輪の開幕前に神戸で行われたU-24スペイン代表との親善試合後、テレビカメラに向かって、「五輪は有観客で開催して欲しい」とアピールした。吉田はキャプテンなので、それは選手全員の代弁者のように聞こえたが、実際はどうだったのだろうか。

 初戦で対戦した南アフリカや、6月に親善試合を行ったケニアも、入国時の検査で陽性反応が出た選手を抱えていた。口には絶対に出さないが、U-24日本代表に招集された22人の中に、モチベーションが上がらない人が含まれていたとしても不思議はない。当初、選手間で温度差は少なからずあったはずだ。選手はそれなりのリスクを覚えながら、五輪チームに参加していたものと思われる。

 一方で、森保一監督は100人近くに上った候補者の中から誰を選んでもいい、言うならば、買い手市場の状態にあった。しかもコロナ禍だ。その合間を縫って活動に参加した選手たちに、森保監督は感謝の意をどれほど抱いていただろうか。選手に優しくない采配が仇になった。メダルを逃す原因になった。そんな気がしてならない。

 東京五輪。金メダル獲得を目標に掲げて戦った日本の男子サッカーはスペイン、メキシコに敗れ4位に終わった。6試合戦った中で、ピークと言えたのは4-0で勝利したフランス戦(グループリリーグ第3戦)。最強のスペインと戦った準決勝は、下り坂の中で迎えた一戦だった。メダルはこの山を越えなければ掴めない。金メダルはさらにひとつ向こうの山にある。

 日本は、金を含むメダルを狙うには、チームとしての体力に欠けた。5試合目、6試合目で息切れを起こした。しかしこのチームとしての体力は、やり方次第では維持できる。監督が選手の出場時間を管理しながら戦えば、疲労感を皆でシェアすることができる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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