【奈良市】「昭和の大発見」と話題になった興善寺で特別拝観が始まった!
はらぺこライターの旅人間です。今回は知る人ぞ知る奈良のスポットを紹介しましょう。かつて”昭和の大発見”と注目されたお寺です。
奈良市観光協会では、冬の観光キャンペーン”冬の奈良で街歩き「路地ぶら ならまち・きたまち」” を開催中。2月末までエリア内の4寺社でキャンペーン限定特別御朱印の授与のほか、通常は公開されていない寺院を含む17か寺で、案内付き・予約不要の拝観・御朱印授与が行われています。
キャンペーン詳細は奈良市観光協会の公式サイト(外部リンク)にて
さて、今回紹介するのは「ならまち」にある興善寺。
同企画で2024年の2月は特別に拝観ができます。当寺は昭和37年に阿弥陀如来像の胎内から源空(法然)の消息(文書)3枚などが納められていたのが見つかり”昭和の大発見”と話題を呼んだ。知る人ぞ知るレアなスポット。歴史好きには「たまらん」の一言でしょう。
伝統的町並みが残るエリア「ならまち」へ
この興善寺は近鉄奈良駅の南に広がる「ならまち」にある。この界隈は、伝統的町並みが残り、細く入り組んだ路地に古い建物をいかしたカフェなども多い奈良の人気スポットだ。
平安遷都の後、都のあった奈良は寂びれ、周囲に民家が出来るようになり、その頃から現在の「ならまち」が形成されたといわれている。そんなエリアにある。
興善寺へ
世界遺産の元興寺の南東すぐ、興善寺は十輪院の隣。
境内に入り、住職のお話をお聞きした。興善寺の前身は元興寺の奥之院だったそう。当時は現在のような本堂は無く、石仏の三尊仏をお祀りする小さな祠のようなお堂だったとか。
そして天正年間(1573~92)、金蓮社慶誉上人がこの地で念仏信仰を広め、天正17年(1589)に本堂が建立、その際に阿弥陀如来像がこの地に迎え入れられたという。
御本尊には「東山田原村から来た」と書かれているが、最近の研究では更に東にある柘植村あたりから来た事が分かっているそうだ。
そして時は流れ、昭和37年に、仏師に太田古朴(おおたこぼく)氏がお参り来られた後、「興善寺の御本尊が気になって仕方ない」と10日間ほど寺に通い、そして「この仏さまには何か秘められたものがあるに違いない」と調査の依頼をした。
その当時の調査は現在のようなレントゲンなどは行われておらず、調査といえば解体となる。当然だが当時の住職はお断りした。
しかし、同氏はその後も何度も足を運び、その熱心さに負け調査を受けることにしたという。
というのも、前年に第二室戸台風の影響を受け、ご本尊が少し傷んでいたので、その修理を兼ね調査も許可をしたそうだ。
ご本尊は寄木造り、ご本尊の向かって右側の左肩の部分に緩みがあり、そこを開き中を見ると、小さな紙片(文書)が15枚、それ以外にも漆塗りの筒状の錦の布に包まれた納骨器が2つ見つかったという。
この胎内からみつかった文書のうち3枚に法然上人の諱(いみな)である「源空」の文字があり、これが”昭和の大発見”と大きなニュースとなった。
この発見によって古くから京都の清凉寺に伝わっている有名な熊谷直実宛ての源空の自筆消息も真跡として確認された。共に重要文化財に指定されている。
法然上人の筆跡はこれまで不詳であったため、それが明らかになったことは重要で、鎌倉時代初期の浄土教の歴史を知ることができる重要な史料となった。
そんな興善寺では、2024年、2月1日~15日は「涅槃図公開」の特別拝観。この機会に是非、立ち寄ってみては如何だろうか。
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興善寺(こうぜんじ)
住所:奈良市十輪院畑町12
電話番号:0742‐23-7007
午前8時~午後4時まで
拝観料:無料
※2月1日~15日は涅槃図公開
※6日(火)は閉扉。お参り頂けません。
公式Facebookページ(外部リンク)
地図(外部リンク)
取材協力:興善寺 、奈良市観光協会
※当ページの写真は取材許可のもと撮影したものです。
※興善寺は檀家寺です。法事と重なる場合は本堂に入れない時もあります。
※キャンペーン詳細は奈良市観光協会の公式サイト(外部リンク)にて