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【奈良市】期間限定御朱印巡り!”十輪院の地蔵菩薩像”は絶対に見逃すな

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。今回は奈良市観光協会が主催する冬の観光キャンペーン”冬の奈良で街歩き「路地ぶら ならまち・きたまち」”について。

2024年1月5日~2月末までの期間中、エリア内の4寺社でキャンペーン限定特別御朱印の授与のほか、通常は公開されていない寺院を含む17か寺で、案内付き・予約不要の拝観・御朱印授与が行われます。

…とうことで、今回は十輪院を取材してきました。

十輪院(じゅうりんいん)

近鉄奈良駅から南へ少し歩くと、そこは昔ながらの町家が立ち並ぶ「ならまち」のエリアとなる。世界遺産の元興寺、十輪院、御霊神社といった歴史的寺院を中心に雑貨屋さんやカフェなどがあって歩いて散策するには最適な場所だ。

さて、細い路地を歩いていると今回の目的地「十輪院」に到着した。

<十輪院について>
奈良時代、元正天皇の勅願による寺で、元は元興寺の子院でした。本堂(国宝)内にまつられた石仏龕(せきぶつがん・重文)は、仏像を納める厨子で、その内部に地蔵菩薩立像、釈迦如来立像、弥勒菩薩立像などを浮彫りで表した珍しいものです。
<引用:奈良市観光協会

国宝・十輪院の本堂へ

住職にお話を聞くと、十輪院の寺名は『地蔵十輪経』というお地蔵様のご利益を説いたお経のタイトルから呼ばれるようになったそうだ。

そして国宝に指定されている本堂は、内部にある石仏龕(せきぶつがん)を拝むための礼堂(らいどう)として建立されたという。

それでは本堂に行ってみよう。

本堂の中へ

重要文化財に指定されている「石仏龕」は、本堂の奥にある。

今回は「路地ぶら ならまち・きたまち」のキャンペーンのおかげで、スグ近くで見る事が出来ると言うワケだ。

<重要文化財・石仏龕について>

地蔵菩薩像は平安末期につくられたとされ、その周辺に切り出した石を組み上げて”かまくら”のようなドーム状のお厨子(ずし)は鎌倉時代に入ってから作られたそう。この全体を総称して石仏龕(せきぶつがん)と呼ばれている。

この地蔵菩薩像は、当初は露仏(ろぶつ) として祀られていたという。露仏とは野外に置かれている仏像と言う意味だ。

そして、このお堂(本堂)は野外の石仏龕を拝むための礼拝堂として建てられたもの。今は本堂と呼ばれているが厳密に言えば礼拝堂となるそうだ。
(本堂であればお堂の中心にご本尊があるはず。しかし、そうではないので)

この本堂が国宝に指定されたのは、一般的な寺院の建築より、仏堂建築より当時の住宅建築の様式を多く残しているから。天井が低い作りになっているのは、お地蔵さんを拝む時に見下ろさないために低くなっていると考えられているのだとか。

なるほど、住職のお話は、とっても分かりやすく勉強になります。

ところで、「お地蔵さんにお参りする気持ちとは?」と住職。

現代の私たちには想像も出来ないが、平安時代~鎌倉、室町、戦国時代の頃は、戦乱や飢饉などが続いた時代。人々の中では「なぜこの世界に生まれてしまったのか」という想いに溢れていた時代だったという。

そう、当時の方々にとっては、「極楽往生、次の世界で今より良い世界に生まれ変わりたい」という想いがあったのだろう。

「お地蔵様…こんなつらいことがあります、どうかお救い下さい」「私が次の世界に行く時は、どうか良い計らいをおねがいします」そんな気持ちでお参りをしていたのではないだろうか。

お地蔵さまはこの世とあの世の橋渡しのお役目もある。

「遊化六道 抜苦與楽」
「遊化六道 抜苦與楽」

お地蔵様のご利益の中に「遊化六道 抜苦與楽(ゆうげろくどう ばっくよらく)」というものがあるそうだ。その意味は、遊化=あちこち歩き回って行き来できる。六道=地獄から極楽までの6つの世界。抜苦與楽=苦を抜き楽を与える。

お地蔵様は、この「遊化六道 抜苦與楽」が使命だとか。本堂の金色の柱には、その文字が描かれているのが分かるだろうか。

「苦を抜き楽を与える」とは、幸せを導いてくれることでもある。

地蔵菩薩像
地蔵菩薩像

お釈迦さまが亡くなられた時に、その後の救済をお釈迦さまが地蔵菩薩様にご指名で託されたという。そして56億7千万年という期間が過ぎれば、今修行されている弥勒菩薩様が弥勒如来さまになられて人間界に現れるという。

しかし、それはあまりに長い期間であり遠い未来の話。同じ世界にいて下さる地蔵菩薩様が現在の人々にとって心強い存在だったに違いない。

「次の世界で今より良い世界に生まれ変わりたい」と願う人々にとって、極楽浄土の入口と捉えてつくられた石仏龕は、その昔は彩色されており、花畑を連想されるような浄土を連想されるような世界観だったと考えられているそう。

釈迦如来像
釈迦如来像

正面にお地蔵さま見て左側にはお釈迦さまの姿(釈迦如来像)がある。

弥勒菩薩像
弥勒菩薩像

そして右側には弥勒菩薩さま(弥勒菩薩像)の姿が見える。

つまり、過去(釈迦如来像)現在(地蔵菩薩像)未来(弥勒菩薩像)と三世の仏さまにお祈りが出来るのだ。当時の方々は、色んな想いを持ちながら「どうかお救い下さい」とここでお参りされていたのではないだろうか。

期間限定特別御朱印について

さて、主に鎌倉時代に地蔵霊場として栄えた十輪院は、時代の流れにと共に栄枯盛衰を繰り返し、そんな中で江戸時代には幕府の庇護を受け寺領50石を賜った。

ご朱印は、今は参拝した証として身近な存在となっているが、もともとは写経を奉納した証とされていたそう。その昔は、将軍様が発行される文章に朱印が使われていたのだとか。十輪院では「三ツ葉葵紋」が記された将軍様から頂いたご朱印状を収めていた箱が今も残っています。

今回、冬の観光キャンペーン”冬の奈良で街歩き「路地ぶら ならまち・きたまち」”では期間限定特別御朱印が頂ける。

この十輪院 では徳川家からの朱印状を保管する箱に記された「三ツ葉葵紋」がモチーフとなる。期間は2月末まで。この機会に奈良に足を運んでみませんか。

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十輪院 (じゅうりんいん)
住所:奈良市十輪院町27
電話番号:0742‐26-6635
※毎週月曜日(祝日の時は、翌火曜日)は閉門日
※「路地ぶら ならまち・きたまち」期間中、1月5・27・28日は本堂内拝観不可。ただし、御朱印の授与は可
公式ホームページ(外部リンク)
地図(外部リンク)
取材協力:十輪院 、奈良市観光協会
※当ページの写真は取材許可のもと撮影したものです。
※十輪院は檀家寺です。法事と重なる場合は本堂に入れない時もあります。
※キャンペーン詳細は奈良市観光協会の公式サイト(外部リンク)にて

はらぺこライター

旅行好きのライター。各地に伝わる伝説や民話、古くから地元で大切にされているモノを親しみやすく紹介したい|地元で人気の食堂やレトロな喫茶店巡り|”思わずクスッと笑ってしまうような”珍スポット探し|目標は個性的でヘンテコな旅本の出版|フォローして頂けたら嬉しいです。

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