安全保障に臆病なのは国民なのか
フーテン老人世直し録(94)
葉月某日
8月1日付の東京新聞に「国民は安全保障に臆病なのか」という記事が掲載された。7月28日に菅官房長官がカナダのベアード外相と会談した際、ベアード外相から「安倍政権の支持率が落ちているのはなぜか」と問われ、菅官房長官は「国民が安全保障に臆病だから」と答えた。その発言を巡り有識者の反応を探った記事である。
反応としては「戦後の日本の生き方を否定する」とか「戦争するより臆病の方が良い」とか「議論を避ける政府の方こそ臆病」とか様々だが、フーテンはアメリカに守ってもらえなければ日本の安全はないと考え、アメリカの奴隷になる事を拒否しない精神こそ「臆病」と呼ぶべきと思う。
安倍政権は「戦力」と「交戦権」を否定した憲法を持ちながら、その憲法を変える事なく、海外派兵を認める事にした。しかしどんな時にどんな条件で派兵されるのかその具体像がまだ良く分からない。そして具体像が明らかとなる法整備を来年まで先送りしながら、閣議決定した事実だけを各国に説明して支持を取り付けようとしている。
国民を意味不明の状態にしたまま、外国にだけはいい顔をして見せる政権を何と呼ぶべきか。「売国」と呼ぶべきである。それではなぜ安倍政権は「売国」になるか。先に外堀を埋めておかないと国会での立法作業を乗り切る自信がないからである。つまり各国に支持されているという既成事実、言い換えれば「ガイアツ」が頼みなのである。
ところで安倍政権が説明して歩く国は支持する事が分かっている国々である。だから説明されれば支持する。なぜ支持するか。その国にとって都合が良いからである。それが日本にとっても良い事かと言えば、それは別物である。むしろ外国が喜ぶ事は日本にとって都合の悪い事が多い。
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