敗戦の夏に考えてみなければならないこと(2)
フーテン老人世直し録(98)
葉月某日
安倍総理は「戦後レジームからの脱却」を政権の課題に掲げた。「戦後レジーム」とは敗戦によって戦勝国、特にアメリカから押し付けられた仕組みや制度の事を言うのだと思う。主権を放棄させられていた時代に押し付けられた仕組みを、主権回復後に見直すのはおかしな話ではない。それがまだ見直されていないと安倍総理は考えているのである。
安倍総理が「戦後レジーム」として取り上げるのは平和憲法と東京裁判史観である。それを変えなければ戦後は終わらないと考えているようだ。その考え方はアメリカの二つの対日統治方針の中の「逆コース」と呼ばれる政策に後押しされている。
冷戦が始まる前のアメリカは、非軍事と民主主義を日本に押し付けた。戦前の日本が朝鮮と中国の支配に乗り出したことを侵略と断じ、日本に二度と戦争をさせないために平和憲法を作った。日本が東アジアで再び覇権を握る事は許されないと考えられた。
ところが冷戦が始まると、日本と西ドイツを「反共の砦」にするため、アメリカは両国の経済復興と再軍備に力を入れる。戦犯と戦争に協力した財界人の追放を解除し、日本を非力な小国から「格下の経済大国」に作り替え、それを「遠隔操作」するのがベストと考えるようになった。
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