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閲覧注意・見たらトラウマ?タイ国鉄のポスターが恐すぎる!乗客に危険を知らせた注意喚起ポスターとは

タイ旅行ライター吉田彩緒莉タイ大好きトラベルライター
あまりにも生々しくてリアルだ

タイの公的な鉄道は1897年3月26日、バンコクから世界遺産のアユタヤ遺跡で知られるアユタヤへ運行した官営列車が始まりだ。しかしタイ国有鉄道法に基づき、タイ国有鉄道の運行が開始されたのは1951年。2024年9月現在は、タイ国鉄クルンテープ・アピワット中央駅(元バンスー中央駅)がタイの鉄道の玄関口と言われ、一部を除く国鉄の大部分が発着する。

ただし中距離列車の一部や観光列車は廃止予定だった、かつてのタイの鉄道の玄関口バンコク駅(フアランポーン駅)と...

バンコク駅
バンコク駅

そしてトンブリー駅も、ナムトック線・南線・ナコンパトム行きの路線3線の始発駅となっている。

トンブリー駅
トンブリー駅

伝説の注意喚起ポスターを見たのは泰緬鉄道の終着駅

この日は猛暑。各駅停車かつエアコンなしの鉄道旅は地獄の様相だった。熱中症の危機感を常に感じたものの無事に泰緬鉄道の終着駅でもある「NAMTOK駅(ナムトック駅)」に到着。

ミャンマーの国境からもそう遠くない
ミャンマーの国境からもそう遠くない

この路線の駅はバンコク中心部の駅とは違って「いつ建てたんだろう?」と思う掘っ立て小屋のような駅舎も見かけた。いや、駅舎じゃなくて、本当にホームしかないような駅も。リニューアルする駅も数多くある中で、乗り降りする人がほとんどいない駅は、特に新しく手入れをする必要がない存在なのだろう。

どう考えても創業当時の駅舎を少しずつ手入れしてきたような趣き
どう考えても創業当時の駅舎を少しずつ手入れしてきたような趣き

ナムトック駅は第二次世界大戦中、旧日本軍が造った泰緬鉄道の終着駅だが、本物のナムトック駅は爆撃で壊されてしまい、今の駅とは違う場所だったそうだ。
現在のナムトック駅は少しバンコク寄りにタイ国鉄として整備された時期に建てられた。昔の駅舎を少しずつ改修してきただけなのではないか?と思うほどの素朴かつ、趣きたっぷりのレトロな駅舎だ。そして観光客がそこそこ降りる駅。
だからこそ、一度見たら夜眠れなくなるようなレジェンドに遭遇できたのかもしれない。

出会いはバンコクへの上りの切符購入時

ああ、鉄道の旅もナムトック駅から先のリゾート地も、楽しかった。さあ、バンコクに戻ろう。帰途につくための切符を購入時に、熱い視線を感じた。レジェンドが私たちを見下ろしていたのだ。

タイ国鉄注意喚起のポスタ―がずらり

ちょ...!な、何これ。

絶妙な色あせ具合
絶妙な色あせ具合

ほとばしる躍動感!

動きが独特すぎる
動きが独特すぎる

そんなことある訳ねーよ!と思うシチュエーション。

しかし場所を考えるとありえなくもない
しかし場所を考えるとありえなくもない

あまりにも凄すぎる。私をここまで連れてきてくれた、鉄道をこよなく愛する友達によると「ああ、それホアランポーン駅(バンコク駅)の鉄道博物館にもあったよ」と、まるで「ホテルのバスルームにシャンプーあったよ」レベルの当たり前の話をするかのように、普通に返してきた。

えええっ?これ見てそのテンション?

血しぶき上がりすぎ
血しぶき上がりすぎ

本気で恐いので、1枚、1枚拡大して紹介する。

屋根には登らないでください

右の男のズボンは半分ちぎれている。どんな破れ方なの
右の男のズボンは半分ちぎれている。どんな破れ方なの

インドの鉄道でこれを言ったら怒られそうだけど、タイはダメだ。鉄橋にぶつかったのか2人とも血だらけ。色褪せているが、完全に死相だ。

列車の階段に立たないでください

鉄の橋桁に足ガーン!
鉄の橋桁に足ガーン!

あしたのジョーや、スネ夫しかできないような髪型の窓から助けようとする乗客も気になるが、このシチュエーションは何なのだ?タイはデッキ部分の扉が開きっぱなし。階段に立って動画を撮るYouTuberもいるのだそう。先日は鉄橋で頭をぶつけ、脳震盪を起こした外国人もいた。私も国鉄の列車内でドア開きっぱなしの動画を撮ろうとしたところ、鉄道職員に「ダメだ!」と怒られた。きっとこうなるからだろう。

駅のホームでは列車から離れて

機関士がびっくり!
機関士がびっくり!

「わああ!足がぁあああ!」
足をけり出さない限り、こんな状態で足を切断してしまうことはないと思うのだが、転びかけた瞬間に機関車が入って来たのかな?国鉄の駅のホームは線路と変わらない駅もあるので気を付けよう。ないと思うけど。

鉄道橋を渡るときは列車に注意!

え?カバン以外に何を落とした?
え?カバン以外に何を落とした?

スタンドバイミーのワンシーンになっちゃっている。実は泰緬鉄道はコレができてしまうのであながちない光景とも言い切れない。何せこれである。

見よ!「戦場にかける橋」は歩き放題だ
見よ!「戦場にかける橋」は歩き放題だ

「戦場にかける橋」で世界的に有名になったクウェー川鉄橋はスタンドバイミーし放題なので、このポスターは特に重要だったに違いない。

列車が動いたら乗り降りしないで

窓辺の女性はどう助けようとしているのか
窓辺の女性はどう助けようとしているのか

どんなスピードの列車に飛び乗っちゃってるの!と、突っ込みたくなる不思議なポージング。1本逃したら5,6時間待ちのナムトック線ならありうる。

線路で横にならないでください

なぜ横になる必要がある
なぜ横になる必要がある

何ちゅうセクシーポーズと変な髪型。そしてこの時代のタイ人にはハイソサエティ層しか履けなかったであろう革靴の男。なぜこんな所に寝転ぶのか?タイ国鉄のトイレはボットン式なので、別の意味でも寝ころぶのは危険だ!

分岐器に注意してください

タイは線路に自由に入れるのであり得る
タイは線路に自由に入れるのであり得る

わあ、足が挟まれて、切断されちゃった!その後ろから列車が!絶体絶命の大ピンチ。日本でも線路に人が立ち入ると大騒ぎになったり、犯罪になるのがよく分かる恐い絵だ。

列車が走っている際は窓から身を乗り出さないでください

五月女ケイ子的画風に感じるのは私だけ?
五月女ケイ子的画風に感じるのは私だけ?

最初は「突き落とさないでください」だと思っていたこのポスター。サスペンス的要素を感じていたのに、身を乗り出すなって話だった。どれだけ身を乗り出したらこうなるんだよ!

列車に注意して線路を横断してください

浮かれた歩き方
浮かれた歩き方

あれ?この髪型。さっき線路に寝ていた人だよね?

列車の間を歩かないでください

一体何があったんだ?
一体何があったんだ?

走っている車両の間を通り抜ける人っているんだろうか?いるんだろう。しかし昔のビジュアルバンドみたいな髪型が気になる。

列車に落書きしないでください

書きやすそうな車両だな!
書きやすそうな車両だな!

バンクシーはこうやって育ったのかもしれない。

線路の近くを歩かないでください

状況がよく呑み込めない
状況がよく呑み込めない

線路の近くを歩いてはいけないのは分かるのだが、何が起きたのかよく分からない。

線路に動物を連れてこないでください

今でもあると思われる光景
今でもあると思われる光景

わあ!水牛が血だらけで倒れている!タイの田舎を鉄道で走っていると、車窓からたくさんの水牛が放し飼いにされているのを見かける。これ、2024年現在もあり得る光景。

通信網を破壊しないでください

子どもに見えるんだけど
子どもに見えるんだけど

えっ?ライフル銃で電線を?どんな趣味なの?テロリスト?

列車に石を投げないでください

服がボロボロの子ども
服がボロボロの子ども

こらー!なにやってるの!?そしてなぜ石を投げている子どもの服はボロボロなの? 何が凄いって約60年前も今と同じような列車が走っているという事。モデルチェンジしていないのかな?

当時のまま?色あせた約60年前のポスターが恐い

私はこのポスターがそれぞれどういう意味を持つのか調べるために、後日バンコク駅にある鉄道博物館に行ったのだが、どうやら1965年から1968年に掲示された「鉄道安全ポスター」らしい。
本当は博物館の鮮やかなポスターを撮影した方が血しぶきまで見えてユーザーの皆さんに恐がってもらえるかな?と思ったが、逆にきれいで恐さやシュールさが半減。色あせた当時のままの物が見れたこと、見づらくても自分で見た本物をお届けする。

しかし、後で2枚足りないことがわかった(爆笑)。
ナムトック駅にはポスターがそのまま置かれていて、なくなったものは、もう発行していないので、15枚掲示しているのだろう。
ナムトック駅になかったポスター2枚は、血しぶき系ではなく「見えづらい場合、線路の横断には注意してください。電車が来てるかも」的な文言と、天秤を担いだ商人がはねられそうになっているポスター、そしてもう1枚は、列車にぶつかり車が壊れ、大勢の人が困っているものだった。
後年は同じ構図で、かわいいイラストのポスターが登場したようだ。ホアヒン駅などで見ることができるが、黒目がちな瞳のイラストで血しぶきを上げていると、また別の意味で狂気を感じる。

タイ大好きトラベルライター

タイ旅行・タイエンタメ関連ライター。25年前タイにはまり「住んだら飽きるかも?」と1年住んで、ますますハマってしまいタイ大好き病が悪化。タイ関連記事は旅行、映画、ホテル、タイ芸能人・文化人インタビューなど多媒体&多岐に渡る。個性あるタイのホテルが大好きで泊まり歩く日々。特に好きな都市はチェンマイ、チェンライ、カオラック、バンコク、ホアヒン。ライター・編集者歴30年。大手音楽事務所宣伝部を経て某バンドの会報ディレクション、映画情報誌・旅行誌・インバウンドサイト・旅行サイトなど多くの編集部で執筆・編集を行ってきたライター・編集ひと筋のヒト。

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