町で一番美味しいカレーを自負するチェンマイの人気食堂アルンライ・ターペー門エリアではコスパ最強
タイ第二の都市チェンマイは、自然豊かで市街地と山の距離が近く、パワースポットとされるワット プラタート・ドーイステープを代表とする名寺院や、お堀に囲まれた旧市街など見どころが豊富。チェンマイは過去にランナー王朝が栄えた。ランナー王朝はミャンマー、ラオスまで領土があった時代や、逆にビルマ(旧ミャンマー)配下になった時代もある。さらに中国雲南から逃れてきた回族の食文化が流れてくるなど、独特な文化が残り、首都バンコクやリゾート地に次いで人気の観光都市だ。
タイのどの県よりもすさまじいと言われる水かけ祭りや、ロイカトーンなど、タイのイベントの際にも多くの人が世界中から集まってくる。
そんな古都チェンマイの中心部で、ガイドブックなどで観光名所迄の距離の目安に用いられるほど、ミーティングポイント的存在にされているのが、このターペー門。ランナー王朝時の旧市街の4つの門のうちの一つで、毎週行われるサンデーマーケットの起点であり、市街地を巡る乗り合いバス(通称赤バス)も集まる。
旧市街観光や旧市街のホテルに泊まっていると、ターペー門に立ち寄る機会は意外なほど多いが、鳩の餌売りが餌を売りつけて来ることもあるので、それだけは気を付けよう(笑)
ターペー門付近で食事するならどこがいい?
ターペー門付近は観光客が多く、カフェや観光客向けのレストランがぽつぽつある。
筆者はチェンマイに15,6回通うヘビーリピーターでチェンマイは大好きな都市の一つなのだが、チェンマイについて語ると100万文字くらいになりそうなので、一番わかりやすいことをストレートに書く。
チェンマイは物価がバンコクほどは高騰していないし、プーケットのような外国人観光客しか使えないような価格の店には、まだ出合っていない。ケチな、いや、しっかりものの筆者には大変ありがたい都市なのだ。
日本は今超円安。コロナ禍前まで60円感覚で使っていた20バーツが、90円になってるのよ!そう。30円も違うの!これが2,000バーツになったらコロナ禍前と3,000円も違うわけ。今は9,000円が2000バーツと言うとんでもない時代。
だから節約するところは節約してメリハリをつけて楽しみむべし。
しかし安かろう悪かろうでは、旅がつまらなくなる。お得で、ローカルの人が「美味しい」と言うお店でいただくべし!
と言う訳で、チェンマイ生まれチェンマイ育ちだというホテルのスタッフに「これからターペー門で友達と会うんだけど、美味しくて安いチェンマイ料理の店知ってる?」とたずねると、「小さなころから家族と行ってたよ」と教えてくれたお店が「アルンライ(Aroon Rai)」という食堂。
旧市街ターペー門の立地ではコスパが高い「アルンライ」
まずは冷たいビールで喉を潤そうとメニューを見てびっくり。食堂やレストランはビールは瓶で提供されるでしょう?こちらは缶!しかも、チャーンビールは1缶50バーツ(2024年11月のレートで225円)!お店で飲むと最近は小瓶で70バーツから80バーツが平均値のチャーンビールだけど「缶ビールで50バーツ!」と、嬉しくて仕方がないから2回言ってみた。
友人のハイネケンの価格は失念したが、コンビニ販売価格とそんなに変わらなかった。これはありがたい!
下手にビール代を高くしているレストランや食堂って、1本飲んだら店変えようか、とか部屋飲みするか(悲)みたいな時もあるけど、あら、不思議。50バーツと知ると何本でも飲みたくなるから、結局、節約にならない(笑)!
チェンマイ料理に手抜きナシ!しっかりと美味しい
「アルンライ」はチェンマイ料理はもちろん、タイ料理を幅広く網羅している。まずはチェンマイ料理からオーダーしていこう!
オードブルムアン
ひとり旅の時はなかなか注文できないが、複数人いる時はマストで頼みたい料理がチェンマイのオードブル的存在「オードブルムアン」。これだけ乗って200バーツ。これなら900円でも痛くない。
内容は蒸し野菜に緑の唐辛子のディップを付けていただくナムプリックヌム、チェンマイソーセージことサイウア、豚の皮のフライ「ケープムー」。他にもチェンマイ名物だけではなく、タイの東北部イサーン地方の発酵ソーセージ「ネーム」やガイトー(鶏肉のフライ)など、大人から子供までみんながつまめる料理が並ぶ。
ひとりの場合はこれだけでお腹いっぱいになるだろう。
町一番のカレーを冠する店!北タイカレー「ゲーンハンレー」は外せない
アルンライは看板に「町一番のカレー」を掲げるカレー自慢の食堂だ。
アルンライのカレーを示す北タイカレー「ゲーンハンレー」は100バーツ。2人前は十分にあるので、文句ナシ。
もちろん郊外の食堂や、総菜屋のテイクアウトよりは高いけれど、観光客が多い便利なターペー門の飲食店の中では良心的な価格帯だ。
ゲーンハンレーはよほど不味くない限り、どこで食べてもハズれはない。そして、どこの店も味が微妙に異なるのもゲーンハンレー。アルンライが誇る町一番のカレーは、日本のカレーにちょっと似たようなスパイス配合。マイルドで、煮込まれた玉ねぎや、すでに形を成していないニンニクの風味も感じられる。そして決め手となるショウガの配分がその店の味を決めると思うのだが、アルンライのゲーンハンレーは、非常にバランスが良い。癖がないなめらかな味のゲーンハンレーだ。
メインの豚肉の柔らかさといったら!スプーンで触れただけで切れる。そしてゲーンがよくしみこみ、大ぶりな肉の中にしっかりと味がしみ込んでいた。美味だ!美味過ぎる。
いつもはお酒を飲む場合、白飯を頼まないのだが、ここのゲーンハンレーは白飯がなくては、もったいない。誰も見ていなかったら白飯に全部かけて、掻き込みたいくらい、白飯のためにあるゲーンハンレーだ。
さすが店主が看板に「町一番のカレー」と掲げるだけあるなあ、としみじみと感動。
チェンマイ料理以外も豊富に揃う。おつまみに事欠かない
アルンライはチェンマイ料理だけではなく、メニューが豊富。タイ料理の炒め物はほぼ網羅しているし、カレーもゲーンハンレーだけではなく、日本でもお馴染みグリーンカレーことゲーンキアオワーンほか、イエローカレー、レッドカレーもある。デザートにはカオニャオ・マムアンも。
ソムタムタイ
タイ東北料理であるものの、タイ全土で食べられ、タイ人に愛されているタイ東北エリアのイサーン料理「ソムタムタイ」。日本でも「青パパイヤサラダ」でお馴染みの料理だ。
アルンライのソムタムは、特に「辛くして」とオーダーしなかったせいか、すっきり爽やかな味で、特に「むせるほど辛い」とは思わなかった。
ただ、この店のソムタムの青パパイヤは、シャキシャキ食感。みずみずしく、心をつかまれた。これは来店のタイミングもあるので、行けば確実にシャキシャキかどうかはわからない。ソムタムはクロックと言う石うすの中に、細くスライスした青パパイヤと唐辛子やナンプラー、マナオ(ライム)、干しエビ他調味料を入れ、ポクポクと叩きながら、味をしみこませていく料理。味がしみ込み、しんなりとするタイミングもあるのかもしれない。
これ麻婆豆腐?謎の豆腐料理は優しい味わい
北タイ料理は意外と胃にガツンと来る。何だか優しいお味の料理をいただきながら、更にビールを飲みたくなったので、メニューにあった豆腐の炒め物のようなものを頼んだら、これが出てきた。
とても美味しいのだが、表現するなら全く辛くない麻婆豆腐と言った感じだろうか。辛いものを食べたことがない子供が食べても平気だと思う。タイの炒め物は味にパンチがあることが多いのだが、脂っこくもなく、とてもやさしいお味。北タイ料理やタイ料理に飽きたら、逆に頼んでもいいだろう。
超フレンドリーなシベリアンハスキーの「もふもふ」のおもてなし
他にはこんなおもてなしも。
大きなシベリアンハスキーが、もっさりとした大きな身体で友人に乗っかって来たのだ。ハスキーの表情には「トモダチ!トモダチ!」とでも言いそうな嬉し気な様子が見て取れ、筆者はそのハスキーの顔が面白く、ビールを吹いてしまった。
慌ててスタッフの方が「ごめんなさいねー!」と言いつつハスキーを連行していってしまったのだが、どうやら店の奥で飼っているようだ。ハスキーはまだ友人に乗っかりたらしくジタバタしながらも、友人に好き好き光線を送っていた。
ということで、犬好きの人にはたまらないかもしれない。そして犬嫌いの方も安心してほしい。普段は繋がれている(はず)。
1957年創業の老舗北タイ料理店
店内はひっきりなしに人が出入りするが、大声で騒ぐ人はいない。勤務後に立ち寄った一人夕食のタイ人女性、タイ人夫婦、外国人のひとり旅など、少人数でゆっくりと食事をしている印象。
店内には、この店について説明した貼り紙のようなものが。
「アルンライ」は1957年に開業した老舗。ユニークかつオーセンティックなチェンマイ料理とタイ料理を提供する、タイ国内にも海外にも支店を持たない、世界でただ一つの店だという宣言。
日本でも他国に知らない間にそっくりな店を出店されてしまう事件があったが、そういったコピー店対策かな?いやいや、これはもう、店の誇りそのものが掲げられていると取ろうではないか。
町一番カレー宣言も、世界でここにしかない店宣言もかっこいい!
何度も通ったチェンマイで、初めて訪れた名店だったが、また一つチェンマイに来た際に、戻りたい場所が増えてしまったようだ。
アルンライ(AROON RAI)
所在地: 45 Kotchasarn Rd, Tambon Chang Moi, Mueang Chiang Mai
営業時間:12時30分~21時30分
定休日:無休