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演算能力1京5,500兆回/秒のスパコンで「線状降水帯 府県単位による半日前予測」が実現!

栗栖成之防災士×探偵ライター
photo AC

「線状降水帯 府県単位による半日前予測」発表が、5月27日からスタートしました。

これについては、先日『【全国初の発表】線状降水帯予測がついに「半日前予測」&「府県単位」まで可能に!』記事でお伝えしていますが、それを可能にしたのが1秒間に1京5,500兆回の演算能力を持つスーパーコンピュータの存在です。

「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」は富士通製

出典:気象庁
出典:気象庁

「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」は「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」と呼ばれる、富士通製のスーパーコンピュータです。

日本のスパコンと言えば「富岳」が有名ですが、その「富岳」の技術を活用したスパコンで、主系統と副系統の2系統で構成されているそうです。

1系統あたりの総理論演算性能は「1秒間に1京5,500兆回」!

photo AC
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「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」の1系統あたりの総理論演算性能は、15.5PFLOPS(ペタフロップス)です。

1PFLOPS(ペタフロップス)は、 浮動小数点演算を1秒間に1,000兆回出来る性能となります。

つまりこのスパコンは1系統あたり、浮動小数点演算を1秒間に、1京5,500兆回行える計算能力を持つコンピュータなのです。

世界トップクラスのスパコンである「富岳」の演算能力は、1秒間に約42京2,000兆回であり、この計算を東京工業大学の学生が行った場合は、140億年かかる計算だとか。

流石に「富岳」の演算能力にはおよびませんが、超高性能のスパコンであるのは間違いありません。

しかも、線状降水帯予測専用に使われるためいつでもすぐに計算できる訳です。

線状降水帯の予測精度が向上すれば早期避難が確実になる!

出典:気象庁
出典:気象庁

「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」の登場で、予測精度が高まれば早期避難が確実となります。

上記はこれまで5km解像度での降水予測と、精度アップした1km解像度の違いを比較した図です。見てお分かりのように、右側の「実際の降水状況」と、ほぼ同レベルの予測ができています。

  • 夜中でなく明るい内に避難が可能
  • 高齢者でも余裕を持って避難できる
  • 鉄道など公共交通機関の計画運休がしやすくなる
  • リモートワークへの切り替えなど企業側にもメリットがある

また、精度アップすることでこのようなメリットも生まれるでしょう。

IT業界だけでなく気象予報にも、スーパーコンピュータは欠かせない時代になっていたのですね。

防災士×探偵ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!フリーでの執筆活動をメインにしつつ、探偵として地域の困りごとも解決している。

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