【南海トラフ地震|兵庫県被害想定:神戸市】死者9,000人超・最高3.9mの津波が沿岸部を襲う!
南海トラフ地震による兵庫県内の被害想定は、2014年(平成26年)6月に公表した内容が最新です。
そのため、県内でどのような災害が起きるのか、知らない方や忘れてしまった方も多いはず。
そこで、地域ごとの被害想定のまとめを、11年ぶりに改めて紹介しています。
今回は、約150万人の人口を誇る、兵庫県で唯一の政令指定都市である『神戸市の被害想定のまとめ』を紹介します。
西区や垂水区で震度6強!ほどんどの地域で震度6弱&震度5強
神戸市では最大震度6強のゆれが発生しますが、地域が限定されており垂水区:6.4%、西区:4.6%です。
分布図を見れば分かりますが、沿岸部地域では震度6弱の地域が多くなり、市内のほとんどの地域に震度5強のゆれが予想されています。
ただ、垂水区における震度6強の地域には明石海峡大橋が含まれるようなので、橋への影響が心配ですね。
また、垂水区内では90%以上が震度6弱以上のゆれが襲うため、神戸市内でも大きな被害が集中することが懸念されます。
各区の状況が分かりやすいように、以下に震度別面積率の一覧とグラフを作成しました。
▼震度別面積率のグラフ
割合的には震度5強が多くなるため、家具の固定などの防災対策は必須といえます。
▼震度別面積率の一覧
- 区 別|6強|6弱|5強|5弱以下
- 東灘区| 0|56.5|40.4|3.1
- 灘 区| 0|11.6|81.7|6.7
- 中央区| 0|53.4|46.5|0.1
- 兵庫区| 0|45.0|55.0|0
- 北 区| 0|0|75.3|24.7
- 長田区| 0|48.8|51.2|0
- 須磨区| 0|35.1|64.9|0
- 垂水区|6.4|90.7|3.0|0
- 西 区|4.6|61.9|33.5|0
- ※単位:ヘクタール
神戸市東部地域へ3.9mの津波が最短83分で到達
神戸市東部地域には最高3.9mの高さの津波が、最短83分で到達する予想です。
「防潮門扉などは全て閉鎖し、津波が堤防を越流した場合に破堤なし」の条件で想定される浸水域は1,194ヘクタールとなり、1m以上の浸水は327ヘクタールにおよびます。
最大浸水深分布図を見て驚きなのは、神戸空港への浸水被害はなく、人工島であるポートアイランドでも大きな浸水が見られない点です。
同じ人工島である六甲アイランドでは、東側部に浸水が見られるものの、酷い状況でないことが分かります。
一方で、東灘区の埋め立て地の大部分が1m以上の浸水が予想され、中央区や兵庫区の沿岸部でも1m以上の浸水が見られます。
以下に、神戸市内の津波における浸水想定を、グラフで紹介しましょう。
各区の全面積に対する割合なので、数字だけ見ると少ないと思われがちですが、沿岸部では2m以上の浸水地域があるため要注意です。
建物の倒壊は「冬18時」が最も多い約28,000棟
神戸市内の建物被害は、全壊数はやや低い予想ですが半壊数が多くなっており、特に地震の揺れによる半壊棟数は「冬5時:14,641棟」「夏12時: 14,654棟」「冬18時:14,602棟」と、いずれも14,000棟を上回っています。
▼建物の倒壊数一覧「冬18時」
- 全壊棟数|半壊棟数| 合計
- 揺れ :1,652 14,602 16,254
- 液状化 : 121 4,237 4,358
- 火災 : 514 0 514
- 土砂災害: 60 149 209
- 津波 : 762 5,992 6,754
- 合計 :3,109 24,980 28,089
死者は「夏12時」が9,000人オーバーと最多を予想
被害想定では発災時刻を「冬5時」「夏12時」「冬18時」の、3パターンで予想しています。それぞれのパターンの死者数には大きな特徴があり、冬5時では3,334人であるのに対し、夏12時では約3倍の9,344人にアップしています。
被害想定の解説を読むと「浸水深1m以上の区域に残っている人は、津波に巻き込まれればほとんどが死亡する」としているため、夏の昼間に起きると海水浴場での人的被害が増えると想定しているからです。
冬18時における死者数が、7,209人と多い理由は触れていませんが、時間的に帰宅時間であることが影響していると推測されます。
迅速に沿岸部から離れることが命を守るカギとなる!
神戸市は兵庫県の中でも、経済の中心地であるため流動人口が多い地域です。
津波による被害は沿岸部に限定されますが、その地域には多くの人が存在しているため、死者数は夏12時で9,264人と多い想定です。
また、都市部であることから帰宅困難者も、夏12時で239,579人と兵庫県最多となります。
地震の揺れによる死者数は比較的少ないため、津波が到達する83分の間にどれだけ早く、沿岸部から避難できるかが「被害をおさえるカギ」となるでしょう!