【南海トラフ地震|兵庫県被害想定:阪神南地域】尼崎市で死者8,000人超・最高4mの津波が襲う!
南海トラフ地震による兵庫県内の被害想定は、2014年(平成26年)6月に公表した内容が最新です。
そのため、県内でどのような災害が起きるのか、知らない方や忘れてしまった方も多いはず。
そこで、地域ごとの被害想定のまとめを、11年ぶりに改めて紹介しています。
今回は「尼崎市・西宮市・芦屋市」の3市で構成される『阪神南地域の被害想定のまとめ』を紹介します。
3市のなかで尼崎市が最も揺れが大きい|震度6弱の面積が99.1%
▼3市の震度分布一覧
震度 |6強| 6弱| 5強|5弱以下
尼崎市|0.2|99.1|0.6 |0.0
西宮市|0.0|47.4|43.5|9.1
芦屋市|0.0|49.0|43.5|7.5
※ヘクタール
▼3市の震度分布グラフ
尼崎市の震度分布図|市内のほとんどが震度6弱となる
尼崎市の震度分布図を見ると、豊中市に接する一部で震度6強が予測されています。
ここは、大阪伊丹空港にほど近い地域で、この部分だけが震度6強であるのが不思議ですね。
とはいっても、市内のほぼ全域を震度6弱の揺れが襲うため、かなりの被害が予想されます。
西宮市の震度分布図|南部は震度6強
西宮市の震度分布図では約47%の南部地域が震度6弱となり、残りの地域は震度5強がほとんどです。
震度6弱と震度5強の違いがどのくらいなのか上手く表現できませんが、気象庁の震度階級の解説を確認すると、人の体感では次のような違いがあるようです。
- 震度5強:大半の人が物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる
- 震度6弱:立っていることが困難になる。
いずれにしても、大きな揺れが襲うのは間違いありません。
芦屋市の震度分布図|市内南部49%が震度6弱
芦屋市の震度分布図も西宮市に似ており、市内南部地域の約49%が震度6弱と予想されています。震度5強・5弱の割合も西宮市と酷似しており、市内全域に強い揺れが襲います。
津波は尼崎市が最高4m、他2市では3.7mとなる予想
津波に関しては、尼崎市に4mの高い津波が予想されていますが、西宮市・芦屋市とも3.7mと高いため地震発生後は迅速に沿岸部から逃げ出さないといけません。
各市の最高津波高と最短到達時間は、次のとおりです。
- 尼崎市:4.0m⇒最短117分
- 西宮市:3.7m⇒最短112分
- 芦屋市:3.7m⇒最短111分
浸水深は3市とも2m以上のエリアが存在する
津波による浸水域は尼崎市が最も広いですが、3市とも2m以上浸水するエリアが存在します。
兵庫県内では淡路島の最南端に位置する南あわじ市が、最も津波の影響を受ける予想ですが、淡路島に次ぐ津波の影響が大きい地域になります。
▼3市の津波による浸水面積グラフ
この地域の特徴は、津波による浸水被害が芦屋市のみ極端に少ない点です。
ただし、尼崎市と西宮市における全域浸水面積の10分の1となっていますが、それでも2m以上浸水するエリアが2ヘクタールあるため安心はできません。
次から、それぞれの市別の「浸水予測図」を確認してみましょう。
尼崎市の浸水予測図
浸水予測図を見ると、沿岸部では津波の影響を大きく受けることが分かります。
特に黄色や橙色の地域は1m以上の浸水となるため、迅速な避難が必要です。
西宮市の浸水予測図
西宮市の浸水域の特徴は、海に最も面している埋め立て地よりも、市街地の沿岸部の方が深い浸水被害が予想されている点です。
1m以上の浸水となる黄色のエリアは多くが住宅地なので、自宅の浸水深をよく把握しておくことが重要です。
甲子園球場の付近では、0.3m未満および0.3~1mの浸水域が多いです。
芦屋市の浸水予測図
芦屋市の浸水予測図を見ると、確かに浸水地域は多くありません。
1m以上の浸水が予測されている沿岸部は「潮芦屋ビーチ」であり、住宅はないものの夏の海水浴シーズンは人が集中するため要注意です。
また、0.3m未満および0.3~1m未満のエリアは住宅地となるため、芦屋市でも自宅の浸水深を把握しておく必要があります。
人的被害「死者数」は尼崎市で8,000人を超える
死者数は尼崎市が最も多く「夏12時」にて8,343人と想定されており、この内約99%にあたる8,291人は、津波が原因で死亡に至ります。
西宮市と芦屋市も死亡の原因は、津波によるものです。ここでは、各市における原因別の死者数を確認してみましょう。
尼崎市の死者数グラフ
尼崎市では「夏12時」における津波による死者数が8,291人にのぼっています。
「冬5時」「夏12時」「冬18時」の3パターンとも、地震の揺れによる死者数は少なく、いずれも津波による死亡者が最も多いです。
西宮市の死者数グラフ
西宮市では「冬5時」における津波での死者数が、7,648人と想定されています。
尼崎市とは異なり「夏12時」での死亡数が、最も少ないのが特徴です。
芦屋市の死者数グラフ
芦屋市では津波による浸水面積が少なかったため、連動して津波による死者数も少ない状況です。
それでも、西宮市と同じく津波による死者が「冬5時」が261人と最多であり「夏12時」では142人と最も少なくなっています。
これらのことから、尼崎より西にある地域が「冬5時」の発災時刻が最も危険であるといえます。ただし、先日紹介した「神戸市」では、尼崎と同じく「夏12時」が最も危険な発災時刻となっています。
今回は、兵庫県の東に位置する尼崎市・西宮市・芦屋市の3市で構成される、阪神南地域の「被害想定のまとめ」をお伝えしました。
神戸市では死者9,344人の予想でしたが、尼崎市でも8,343人と相当数の死者が想定されています。
原因はやはり津波で、被害想定では「浸水深1m以上の区域に残っている人は、津波に巻き込まれればほとんどが死亡する」とされていることから、この地域でも津波の怖さを実感できます。
ただ、芦屋市での被害が少ないことは、幸いであると言えるでしょう。3市とも地震発生から津波が到達するまで111~117分あるため、この時間内に浸水エリアから脱出することが重要です!