言われたことしかやらない部下を変える「それでそれで分析」とは?
■「言われたことしかやらない人」の問題点
職場にはいろいろな人がいる。
・言われたことすらやらない人
・言われたことしかやらない人
・言われたこと以上のことをやる人
たとえば、新規顧客を開拓するために、月に50件の訪問を上司から命じられたとしよう。それぞれ以下のような反応をすることだろう。
「50件訪問しようと思ったのですが、忙しくて30件しか訪問できませんでした。ただ、50件訪問すればいいってもんじゃないと思っています」
「言われた通り50件の訪問をしました」
「目標達成のためには月に2社の新規顧客が必要だと考え、50件では不足と判断し、75件訪問しました。ところが期待したほどの成果を得られなかったので、次月は90件訪問する予定です」
今回のコラムでは、「言われたことすらやらない人」ではなく「言われたことしかやらない人」に焦点を当てる。
(「言われたことすらやらない人」は言い訳が多く、しかもその言い訳が長い!)
「言われたことしかやらない人」の特徴は、上司からの指示を正しく理解していない。
「50件訪問するだけじゃなくて、新規開拓につなげるためのアクションはできたのか? ただ訪問するだけじゃ目標を達成できないだろう」
と言っても、
「言われたことはやりました」
「それなら最初からそう言ってください」
「じゃあ、次はどうすればいいんですか?」
とイチイチ指示を求めてくる。指示された行動の目的がわかっていないからだ。
■仕事の目的を探る「それでそれで分析」とは?
言われたことしかやらない人には「それでそれで分析」を試みよう。
「なぜなぜ分析」とは、問題の根本原因を探るために「なぜ?」を繰り返す方法として有名だ。いっぽう私が提唱する「それでそれで分析」は、「それで?」を繰り返すことで、仕事の目的を探る方法だ。
たとえば部下が「50件訪問した」と報告した際、上司は「それで?」と問いかけるのだ。そうすることで、部下はその指示の本当の目的に気づいていくだろう。例文を書いてみよう。
部下:「50件は訪問しました」
上司:「それで?」
部下:「それで? それで、と申しますと……?」
上司:「50件、新規のお客様を訪問して、それで何なの?」
部下:「ええっと……。当社の商品を提案しようとしました」
上司:「それで?」
部下:「ところが提案するネタがないことに気づきました。なにせ私は、新規顧客への訪問をしたことがなかったものですから」
上司:「それで?」
部下:「それで、ですね。もっとお客様に訴求できる何かを勉強しなくてはと思ったんです」
上司:「それで?」
部下:「それで、営業成績の高い先輩に聞いてみることにします」
上司:「それで?」
部下:「その先輩に言われたとおりに、来月も新規顧客を訪問してみます」
上司:「それで?」
部下:「そうすれば、新規顧客が以前よりも開拓できるようになると思います」
上司:「それで?」
部下:「ええっと……新規顧客が開拓できれば、私の今期の目標も達成するんではないか、と」
上司:「そうだよね。その通りだ」
※もちろん、ただ「それで?」を繰り返すだけではなく、適度にリアクションを入れながら質問すること
「言われたことしかやらない人」は、思考が「言われたこと」でストップしている。その先にある目的に焦点を合わせていない。
考える習慣が足りないので、「そんなこともわからないのか」と上司に言われても、考えずにキレてしまう。お互いの関係を悪化させるだけだ。
だから部下自身に考えさせることが重要だ。思考を前に進めさせるために「それで?」を使って、5回以上問い掛けてみよう。
間違っても「なぜ?」を繰り返して問い詰めるべきではない。「なぜ、言われたことしかやらないんだ?」を繰り返せば、言い訳しか引き出すことができなくなるからだ。
<参考記事>