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ベンゼンが浸み出す?放射能が漏れだす?2020東京五輪の呪い

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(249)

長月某日

豊洲新市場の土壌汚染問題で東京都は汚染対策として敷地全体に盛り土をしたと思わせながら、建物の地下は盛り土をせず空洞を作っていたことが明らかになった。空洞の床には地下水と思われる水がある。

このニュースを聞いた時、頭をよぎったのは福島第一原子力発電所の汚染水問題である。そこでは原子炉建屋に流入する地下水が炉心から溶け出した燃料と混ざり合い高濃度の汚染水を作り出しているが、タンクに保管された汚染水はすでに置き場がなくなり、いずれ海に放出するしかないところまできている。

豊洲では発がん性のベンゼンが地中から浸みだしてくる危険性を抑えるため盛り土をするしかないといわれながら、東京都は空洞でも安全性は保たれると独自に判断し、納税者に気づかれないうちに豊洲移転を急ごうとした。何のために急いだのか。2020年東京オリンピックのためにである。

2013年、日本が東京オリンピック招致を勝ち取ったとき、安倍総理は「放射能はアンダーコントロールされている」と発言した。しかし現実はアンダーコントロールどころではない。今年3月には国が400億円の税金を投入して原子炉建屋の周囲に凍土壁を作り、増え続ける地下水の流入を防ごうとした。

ところが東京電力は今年7月、完全に凍らせることは難しいと発表した。つまり何をやってもアンダーコントロールはできないのである。この現実に国際社会が注目すれば、日本の「安部マリオ」は嘘つきだったことになる。

すると9月7日、外国特派員協会で会見した小泉純一郎元総理が「安倍総理のアンダーコントロール発言はウソだ」と公式の場で安倍総理を嘘つき呼ばわりした。この発言を聞いてフーテンには2007年の夏が甦る。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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