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【掃除の裏技】電子レンジ汚れ「後でいいや」で火災の危険も タオル1枚でできる掃除法

藤原千秋ライター、住生活ジャーナリスト
(写真:maruco/イメージマート)

 マグカップに入れた牛乳をホットミルクにしたり、冷凍ご飯を解凍して温めたりと、季節を問わず活躍する電子レンジ(オーブンレンジ)。さあ食べ物を温めようとドア(扉)を開けた瞬間、いやな臭いがムッと漂ってきたら、食欲を失ってしまいますよね。でもこの電子レンジ(オーブンレンジ)の中を前回掃除したのは……果たしていつだったでしょう?

 「電子レンジ(オーブンレンジ)の中掃除」というもの。電子レンジ(オーブンレンジ)の使用頻度に比べると、あまり高いものではないようです。また実は「電子レンジ(オーブンレンジ)の中」という場所の掃除方法自体を、よく知らないで使っているという方も少なくありません。

 今回はそんな「初めて掃除する」という方にも分かりやすく効果の高い、電子レンジ(オーブンレンジ)の掃除方法をご紹介します。

電子レンジ(オーブンレンジ)の汚れは「食べ物」

 電子レンジ(オーブンレンジ)の中につく汚れは、本来「食べ物(食べようとしていたもの)」です。多くは電子レンジで食品を加熱調理する際に沸騰したり、誤って爆発させてしまうなどして飛び散ってしまったものや、出し入れの際にこぼしてしまったもの。

 「汚れた」と言っても、基本的には「汚い」ものではありません(ただし冷凍肉魚を解凍する際に出るドリップについてはやや衛生的な不安があります)。ほとんどの汚れは付着してしまってもすぐに拭き取ることで、さほど面倒もなく落とせる類の汚れです。

Symme-cocoさんによる写真ACからの写真
Symme-cocoさんによる写真ACからの写真

 でも調理のとき急いでいたり、慌てていたり、「まあ後でいいや」とつい汚れをそのまま放置してしまう。或いは飛び散りに気づかず置いてしまう。そのまま、再び他の何かを加熱したり、また電子レンジと同じ庫内で「オーブン」機能等を使用することで汚れを「焼いて」しまったりすることによって焦げ、こびりついてしまいます。

 また再加熱で焦げつく他にも汚れが腐敗することにより、生臭い不快な臭いを発してしまうこともあります。

 このように腐ったり焦がしたり、時間をかけてこびりつかせてしまった電子レンジ(オーブンレンジ)内の汚れというのは、ちょっと拭いただけで落とせるものではなくなります。とはいえ口に直接入れるものを加熱するような電子レンジ(オーブンレンジ)内に強力な洗剤を使うというのも、安全性の面でやや不安な気持ちになるのではないでしょうか。

蒸気(スチーム)をうまく活用する

 電子レンジ(オーブンレンジ)内には調理中よく湯気が立ちます。ドアが曇って中が見えないという経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。このメカニズムを内部掃除に上手に利用しましょう。蒸気(スチーム)の水分と熱を使ってこびりついた汚れを緩め、落としやすい状態にするのです。

ころさんによる写真ACからの写真
ころさんによる写真ACからの写真

<用意するもの>

 ・薄手のタオル(洗濯済み)

 ・耐熱皿

 ・ゴム手袋

<具体的な掃除方法>

 1)薄手のタオルを水道水でしっかり湿らせ、ごくゆるく絞ります。軽くタオルを持ったときに水がやや滴る程度が湿らせ具合の目安です

 2)耐熱皿の上に絞ったタオルを乗せ、電子レンジ(オーブンレンジ)庫内に入れ、ドアを閉めて電子レンジ600Wで1分30秒から2分程度加熱します

 3)庫内に蒸気が行き渡ってドアが曇っていたらそのまま5〜10分ほど置きます。蒸気が出ていなかったらあと30秒ほど加熱時間を追加しましょう

 4)火傷に気をつけて耐熱皿を取り出し、ゴム手袋をして、温まったタオルをしっかり絞ってから庫内のドア、側面、底面などの汚れを拭き取ります。ただしくれぐれも強くゴシゴシこすったり、特にパッキンの部分を力任せに拭かないように注意してください(表面加工が剥がれたりパッキンが変形するおそれがあります)

 5)一度で汚れが落ちない場合には、タオルをよく洗い濯いだあと、1〜4をもう一度繰り返します

 6)電子レンジ(オーブンレンジ)自体に「スチーム清掃機能」や「脱臭機能(焼き切り)」がある場合には取扱説明書の通りに活用しましょう

 近年の電子レンジ(オーブンレンジ)はオート調理機能などに優れ、そのため繊細なセンサーが取り付けられていることが多く、不用意に傷をつけてしまうことで本来の機能が使用できなくなる可能性があります。焦げなどが気になるからと、クレンザー(磨き粉)でゴシゴシやったり、強力なアルカリ性洗剤などは使わないようにしましょう。

 とはいえ庫内に汚れを残しておくと、冒頭に書いたように不快な思いをするのみならず、汚れが発火して火災の原因になることもあります。特に油分の多い汚れは大変「危険」ですので、可能な限り使用するごとに拭き掃除を行うようにしたいものです。

saku00さんによる写真ACからの写真
saku00さんによる写真ACからの写真

 余談になりますが、本来掃除の目的とはものの見映えを良くすることではなく「健康を害する恐れのある汚れを取り除くこと」にあります。部屋のホコリを取り除くことで、有害物質を呼吸で肺に入れてしまうリスクを下げ、ダニの発生を抑える(アレルギー予防)ことになりますし、キッチンの冷蔵庫内や調理台を清掃除菌することは食中毒リスクを下げることになります。

 日々の限られた時間の中で掃除に時間を割くならば、つねに「汚れることで健康への悪影響がある場所」を優先的に行うようにすべきです。

 そういった軸を持ってみると、日常的に自分の口に入る食べ物を温める「電子レンジ(オーブンレンジ)の中」という場所というのはなかなかに優先度の高い掃除箇所になるのではないでしょうか。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

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ライター、住生活ジャーナリスト

「家のなか」の事をテーマにウェブ、雑誌、新聞等で執筆。大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。主な著・監修書に『人生が整う 家事の習慣』(西東社)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)、『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)等。2020年1月より東京中日新聞にてコラム『住箱のスミ』連載中。

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