Yahoo!ニュース

台風11号・温低に変わる

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
8日にアップした【10日・21時】の台風11号の予想位置(TBSテレビ「Nスタ」より)
8日にアップした【10日・21時】の台風11号の予想位置(TBSテレビ「Nスタ」より)
実際の台風11号の位置(10日・21時)TBSテレビ「Nスタ」画面を元に一部加工
実際の台風11号の位置(10日・21時)TBSテレビ「Nスタ」画面を元に一部加工

台風11号は今日09時に温帯低気圧に変わりました。ただ、温帯低気圧といっても、構造が変わるだけで、引き続き北日本では荒れ模様の状態が続く見込みです。むしろ温帯低気圧になったことで、低気圧としては再発達する可能性もあります。

ところで先週金曜日(8日)の当ブログで、日曜日夜(10日・21時)の台風11号の予想位置をご紹介しました。現在の天気予報は数値予報と言ってコンピュータの計算によって出されていることをお伝えしましたが、その結果はどうだったのでしょう。

上掲の図はコンピュータ予想の上に、実際の台風11号の位置(10日・21時)を重ねたものです。

11号の実際の位置は、コンピュータによる台風予測27メンバーの中心点から、数100キロも離れていません。これは驚くべき精度です。人によってはこれを「といってもズレているではないか」とか、「もっと簡単にポイントで出せ」とかの意見をお持ちの方も居るかと思いますが、数値予報(コンピュータ)予想の初期の頃から見てきた者としては、この進歩は素晴らしいと思います。

ただただ、数値予報関係者の努力に感謝するのみです。

そしてここで重要なのは、現代の数値予報は多少の誤差を含みながらも、一日か二日前の予報ならかなりよく当たるということです。確かにまだ、ピンポイントで完全に当たるまでには至っていませんが、とりあえずコンピュータの計算結果を信用して、その誤差の幅の中で行動すれば、実用的な利用価値は極めて高いと思います。

よく言われる事ですが、情報そのものには価値はありません。それをどう利用するかによって、価値が付加されるのです。

その意味では、これからの時代は「予報が外れた・・・」といって愚痴を言う人々は、どんどん時代の流れから離れていくのでしょう。

それも選択ではありますが・・・。

台風11号は四国に上陸か

http://bylines.news.yahoo.co.jp/moritamasamitsu/20140808-00038113/

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

森田正光の最近の記事