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日本のごみは東京ドーム115杯!税金2兆円を使い半分は食べ物(食品ロス)ごみゼロの日5月30日を前に

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
日本フードエコロジーセンターで処分される大量の米飯やおにぎりなど(筆者撮影)

5月30日は、「ごみゼロの日」。

日本のごみは東京ドーム115杯分!ごみ処理費はおよそ2兆円

環境省の発表によれば、日本のごみ総排出量は、なんと、東京ドームおよそ115杯分にも及ぶ(4,289万トン)。1人1日当たりのごみ排出量は、920グラム(2019年3月26日、環境省発表)。

その量は、年々、少しずつ減ってきているとはいえ、一年に費やすごみ処理事業経費は少しずつ増えており、年間およそ2兆円にも及ぶ(1兆9,745億円)。これを国民1人当たりに換算すると、15,500円になる。このお金で食べ物を買うとすれば、かなりの食べ物が買えるのではないだろうか。コメ1kgを600円とすれば、25kg以上も買うことができる。

日本のごみ処理費の推移(環境省2019年3月発表、一般廃棄物処理事業実態調査の結果・平成29年度より)
日本のごみ処理費の推移(環境省2019年3月発表、一般廃棄物処理事業実態調査の結果・平成29年度より)

ごみのうち半分は食品廃棄物、1トン燃やすのに4〜5万、うち半分は税金

食べられるのに処分される運命にある食べ物を受け入れて、豚のエサに加工している、株式会社日本フードエコロジーセンターの執行役員、伊藤政基氏にお話を伺った。

焼却炉で1トン燃やすために4~5万(円)かかるんです。その半分が税金なんです。

自治体で燃やすのが、国内で2兆円なんです。そのうちの食品廃棄物というのは40%から50%で、8,000億円から1兆円なんです。だから約半分、1兆円が燃やされていると。

出典:株式会社日本フードエコロジーセンター執行役員 伊藤政基氏のお話

食品廃棄物には、食べられるもの(可食部)と、食べられないもの(不可食部)がある。そのうち、日本では、食べられる部分(可食部)のことを「食品ロス」と呼んでいる。

実際に、どれくらいのものが食べられるか、細かく調べるのは難しいが、昭和55年から家庭ごみの調査を継続してきた京都市・京都大学の調査結果を見ると、燃やすごみの41%が生ごみ(食べ物ごみ)で占められている。しかも、生ごみ中の45.6%もが、手付かず食品だ。

京都市の調査では、生ごみのうち、手つかず食品が45%以上を占める(京都市・生ごみスッキリ情報館HP)
京都市の調査では、生ごみのうち、手つかず食品が45%以上を占める(京都市・生ごみスッキリ情報館HP)

京都市は、2000年から2019年現在まで、排出ごみを、ほぼ半分近くまで下げてきた。

水分が多く、重量が重い食べ物ごみを減らすことで、ごみ全体が減ることには間違いない。

日本フードエコロジーセンターへ運ばれる、コンビニのベンダー(納入業者)などが作ったおにぎりや米飯など(筆者撮影)
日本フードエコロジーセンターへ運ばれる、コンビニのベンダー(納入業者)などが作ったおにぎりや米飯など(筆者撮影)

コンビニ・スーパーの売れ残りや飲食店の食べ残し、われわれが納めた巨額の税金も使われ処分されている

日本フードエコロジーセンターの高橋巧一社長がいつも強調されているのは、「事業系由来の食べ物ごみは、事業者負担だけでなく、税金も使って焼却処分されている」ということだ。

おそらく、国民のほとんどが気づいていないのではないだろうか。それは、企業にとっては好都合だろう。恵方巻きが大量に捨てられる映像を見せられても、視聴者(消費者)は、「自分には関係ない」「企業が全額、廃棄コストを払っている」と誤解しているのだから。

2019年2月、日本フードエコロジーセンターで処分される恵方巻き(日本フードエコロジーセンター提供)
2019年2月、日本フードエコロジーセンターで処分される恵方巻き(日本フードエコロジーセンター提供)

食品ロス削減推進法ができても消費者の意識が他人ごとなら日本は世界で周回遅れのまま

もう、今のままの暮らしを続けていたら、地球が1個では足りない事態だ。だからこそ、SDGs(持続可能な開発目標)が国連サミットで採択された。企業の経営陣は、SDGsのバッジをスーツ(背広)の胸につけるのに熱心だ。

SDGs(エスディージーズ:2015年9月、国連サミットで採択された、持続可能な開発目標)(国連広報センターHP)
SDGs(エスディージーズ:2015年9月、国連サミットで採択された、持続可能な開発目標)(国連広報センターHP)

2019年5月24日には、日本初となる「食品ロス削減推進法」が成立した。半年以内に施行される。

だが、一般消費者の意識が「他人ごと」なら、日本は、世界の中で、環境問題への取り組みに関し、周回遅れのままだ。

わたしたちは、食べ物のごみに関し、ダブルで(二重に)お金を払い、損をしている。

1つは、食料品価格に織り込まれた、企業が捻出するための廃棄コスト。中には「捨てる前提」で商売している企業もある。

もう1つは、前述の通り、住んでいる市区町村で食べ物ごみを焼却処分するための税金。税金も、決して安くはない。東京都世田谷区では、事業系一般廃棄物1kgあたり57円だそうだ。

食べ物を捨てることで、わたしたちが知らずに負担させられているお金の損に対し、もっとシビアになったほうがいい。そう簡単に収入が2倍にはならないのだから・・・

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食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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