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隠れ首位打者が打率を.398まで上昇させる。シーズン打率.400以上は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
スティーブン・クワン(クリーブランド・ガーディアンズ)Jun 16, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月16日、スティーブン・クワン(クリーブランド・ガーディアンズ)は、5打数4安打を記録した。前日の4打数3安打に続き、今シーズン11度目の1試合3安打以上だ。

 1試合3安打以上が二桁の選手は、クワンの他にはいない。クワンは、出場43試合中11試合が3安打以上。4試合に1度の割合ということになる。

 6月4日の時点で.361だった打率は、そこから.365→.371→.370→.380→.380→.377→.386→.398と推移している。

 クワンは、先月上旬から下旬まで離脱していたため、現時点の規定打席――チームの試合数×3.1打席――には達していない。だが、早ければ、今月が終わるまでに到達する。それについては、数日前にこちらで書いた。

「ア・リーグの「隠れ首位打者」は打率.380。今月中にもトップに躍り出る!?」

 打席がチームの試合×3.1以上となった時点で、クワンが打率ランキングのトップに立つのは、まず間違いないだろう。現時点のア・リーグ1位は、打率.327のボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)だ。ナ・リーグでは、打率.326のルイス・アライズ(サンディエゴ・パドレス)がトップに位置している。

 アライズは、先月初旬にマイアミ・マーリンズからパドレスへ移った。ナ・リーグのチーム→ナ・リーグのチームなので、移籍前と移籍後を合算したスタッツがランキングの対象となる。

 ただ、クワンがシーズン打率.400を記録する可能性について語るのは――期待したいところだが――まだ早い気がする。昨シーズン、アライズは、マーリンズが78試合を終えた時点で、72試合に出場し、打率.401(274打数110安打)を記録していた。シーズンが終わった時点の打率は、両リーグ・トップながら.354だった。

 1941年に打率.406のテッド・ウィリアムズを最後に、シーズン打率.400以上は途絶えている。今世紀に入ってからは、シーズン打率.375以上も皆無だ。2001年以降のトップ3は、2004年に打率.372のイチロー、2002年に打率.370のバリー・ボンズ、2009年に打率.365のジョー・マウアーとなっている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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