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ベッツが骨折のドジャースは遊撃手を獲得する!? トレード市場にはベッツよりホームランが多い遊撃手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ムーキー・ベッツ/捕手はフレディ・ファーミン Jun 16, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月16日、ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)は、7回裏に死球を受け、ミゲル・ロハスと交代した。上の写真は、その直後だ。

 オレンジ・カウンティ・レジスターのビル・プランケットやロサンゼルス・タイムズのマイク・ディジオバンナらによると、ベッツの怪我は、左手首の亀裂骨折。デーブ・ロバーツ監督は、手術は不要ながら、復帰にはしばらく時間がかかり、ベッツが不在の間は、遊撃手として主にロハスが出場し、キーケー・ヘルナンデスが遊撃を守ることもある、と語ったという。

 ベッツが復帰するまでに、少なくとも数週間はかかりそうだ。さらに離脱が長引くようであれば、ドジャースは、新たな遊撃手を獲得する可能性もある。遊撃手がいれば、復帰後のベッツを、遊撃よりも守備の負担が少ない、ライトや二塁へ戻すこともできる。

 今オフにFAとなる遊撃手には、ウィリー・アダメス(ミルウォーキー・ブルワーズ)やハソン・キム(サンディエゴ・パドレス)がいる。キムの契約は、2025年が相互オプションだ。

 ただ、ブルワーズもパドレスも、今夏のトレード市場では、主力選手を放出する売り手ではなく、買い手に回るだろう。ブルワーズは、ナ・リーグ中地区の首位にいる。パドレスは、ナ・リーグ西地区でドジャースに大差をつけられているが、ポストシーズン進出圏内である、ワイルドカードの3番手に位置している。

 また、トレードの噂は出ているものの、トロント・ブルージェイズがボー・ビシェットを放出する可能性は、高くないと見る。ブルージェイズは、ワイルドカードの3番手と4.5ゲーム差。ポストシーズン進出をあきらめるほど、離されてはいない。ビシェットは、3年3360万ドル(2023~25年)の契約2年目。年齢は、26歳と若い。

 ブルージェイズは、もし手放すのであれば、高く売りたい――大きな見返りを得たい――に違いない。だが、これまで.800を割ったことがなかったOPSが、今シーズンは.629。売り時として、理想的とは言い難い。

 ビシェットと違い、ポール・デヨング(シカゴ・ホワイトソックス)は、間違いなく、今夏のトレード市場に出る。ホワイトソックスの勝率は.300に満たず、デヨングの契約は出来高つきの1年175万ドルだ。

ポール・デヨング(シカゴ・ホワイトソックス)May 25, 2024
ポール・デヨング(シカゴ・ホワイトソックス)May 25, 2024写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今シーズン、デヨングのホームランは、ベッツよりも多い。ベッツの10本に対し、デヨングは14本だ。この本数は、主に遊撃手として出場している選手のなかでは、22本塁打のガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)に次いで多く、コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)と並ぶ。

 デヨングがパワーを発揮するのは、今シーズンが初めてではない。メジャーリーグ1年目の2017年は108試合で25本のホームランを打ち、2019年は159試合で30本塁打を記録した。

 一方、デヨングのシーズン出塁率は.330に達したことがなく、2021年以降は、いずれも.290を下回っている。今シーズンは.289だ。しかも、四球率はいつも以上に低く、3.8%に過ぎない。ちなみに、ベッツの出塁率は.405、四球率は14.2%だ。

 もっとも、遊撃を守って多くのホームランを打っているだけでなく、年俸も高くない。というよりも、安い。手に入れるのに必要な見返りも、そう大きくないはずだ。ホワイトソックスは、デヨングにクオリファイング・オファーを申し出るとは思えないので、トレード・デッドラインまでに放出するしか、見返りを得る方法はない。出塁率の低さという、明らかなマイナス面があるとはいえ、ドジャースは、ベッツが戻ってくるまでの穴を少しでも埋めるため、ホワイトソックスにトレードを打診してもおかしくない気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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