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行き詰まって足元を見られる安倍外交

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(95)

葉月某日

「地球儀」というのは世界を知らない子供に世界を教えるための道具だと思っていた。安倍総理が「地球儀を俯瞰する外交」と言い始めた時、地球儀を回しながら世界の形を知ろうとする子供の姿が目に浮かんだ。

外交とは「国益」を最大限に追及するため行うものである。自国の「国益」を最大限に追求すれば、それは他国の「国益」と相いれない場合が多い。外交は一筋縄ではいかない。相手の裏をかく知略と最後に相手を譲歩に追い込む力が必要になる。嘘と脅しを笑顔で包み込むのが外交の世界である。

地球儀を眺めるだけで外交になるとは当の安倍総理も思っていないはずだが、「地球儀を俯瞰する外交」と言う時、フーテンはそこに外交をパフォーマンス化して大衆の人気取りに利用するポピュリズムの精神を感じる。

総理が外遊すれば必ずメディアは付いてくる。新聞社やテレビ局は出張旅費を出して記者を同行させた以上、できる限り多くニュースにして元を取ろうとする。従って外遊中の総理は毎日のように報道される。それを狙って外遊に力を入れる姿勢が「地球儀を俯瞰する外交」の裏に見えるのである。

誰も行った事のない国に行くことを一概に悪いとは言わないが、しかし現下の世界情勢を見る時、パフォーマンス外交に終始していて良いのかという事をひしひしと感ずる。パフォーマンス外交は大きな「国益」より小さな「国益」を追い求める。面倒な課題を先送りし、安易なところから手を付ける。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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