新型コロナ対策、在日米海兵隊が「立ち入り禁止」地域を縮小――在日米軍はワクチン接種を着実に推進
新型コロナウイルスの日本国内の感染状況を踏まえ、本州唯一の米海兵隊基地となっている岩国航空基地が2月に入り、隊員らを対象にした「立ち入り禁止」地域を縮小した。また、日本政府がいまだワクチンを承認せず、国民に接種を開始できていないのとは対照的に、在日米軍は昨年12月下旬からワクチン接種を着実に推し進めている。
米海兵隊岩国航空基地は2月10日、宮崎市、長崎市、宮城県、福島県、和歌山県、静岡県、大分県、熊本県をレッドゾーン(危険区域)こと赤色部分の「立ち入り禁止」地域から外し、緑色部分のグリーンゾーンに指定した。グリーンゾーンはレッドゾーンと違い、泊まりがけの滞在も認められている。
ただ、日本政府が緊急事態宣言を東京、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の1都2府7県を対象に発令しているのに対し、米海兵隊岩国航空基地は依然、より広い地域を「立ち入り禁止」に指定している。日本の緊急事態宣言発令中の1都2府7県に加え、北海道、群馬県、栃木県、岐阜県、三重県、滋賀県、奈良県、広島市、沖縄県を今もなおも「立ち入り禁止」地域にしている。在日米軍が菅政権よりも新型コロナウイルス感染状況への警戒を緩めていない証しと言える。
とはいえ、この上記の地図を、下記の1月21日時点の地図と比べると、在日米海兵隊が「立ち入り地域」を全国的に縮小したことがわかる。
米海兵隊岩国航空基地は、この「トラベル規定」が日米地位協定こと駐留米軍の地位に関する協定(SOFA)が適用されるすべてのメンバーが対象になると述べている。米連邦職員ら非軍人も含まれている。
●在日米軍は昨年12月下旬からワクチン接種を開始
在日米軍では昨年12月26日に米モデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンが到着した。そして、米空軍の横田基地や三沢基地、嘉手納基地、米陸軍のキャンプ座間、米海軍の横須賀基地、米海兵隊岩国航空基地をはじめとする各所で順次、ワクチン接種を開始した。軍人、軍属、医療従事者や学校関係者らエッセンシャル・ワーカー(人々の日常生活を維持するために必要不可欠な仕事に従事している人々)の接種を優先している。
同じ日本の地であるのにもかかわらず、日本政府がいまだワクチンを承認せず、国民に接種を開始できていないのとは対照的だ。
現在日本には米軍約5万4000人が駐留している。このほか、米国防総省の軍属(軍のために働く民間人)や請負業者、家族らが約4万5000人いる。
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