なぜ今、子ども1人当たり5万円の再給付が実現したのか
3月16日朝、菅義偉首相は、ひとり親や所得が低い子育て世帯に対して、子ども1人当たり5万円を給付することを表明した。それは、同日朝8:05から首相官邸で開催された新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議でのことだった。
布石はあった。3月10日に、自民党の岸田文雄前政調会長は首相官邸を訪ね、菅首相に新型コロナウイルスの感染拡大に対応した追加の経済対策に関する提言書を手渡していた。その内容は、生活困窮者に限定した給付金の再支給や社会人を対象にした技能向上支援策が含まれていたという。
困窮者に現金再給付を 自民・岸田前政調会長、菅首相に提言(時事通信)
2021年度の予算政府案が、まだ成立しておらず、通常国会で審議の最中なのに、予算の追加策を与党から提案するのは、異例である。なぜなら、与党から予算の追加策を求めるということは、今審議している予算政府案に不備があることを与党が認めたも同然で、野党にしてみれば不備のある予算政府案を批判する格好の攻撃材料になるからである。
だから、通常は、予算の追加策を求めたくても、与党議員は、予算政府案が国会で成立するまで審議中は我慢するものである。
それなのに、敢えてこの時期に、岸田前政調会長は提言書を手渡した。菅首相に、提言内容を拒否されれば、実現しないし、影響力の低下を印象づけかねないにもかかわらず、である。
そして、3月16日、記事冒頭の菅首相の表明通り、岸田前政調会長の提言にも沿う形で、対象世帯の児童1人一律5万円の、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(仮称)が実現した。
2021年度予算政府案が審議中の今、なぜ、これが実現したのか。それは、
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