廃止から一年 留萌市の廃駅 旧:留萌本線 峠下駅の木造駅舎が雪の重みで倒壊
4月1日、北海道警察留萌警察署は留萌市内の廃駅「峠下駅」の駅舎が倒壊したと発表した。廃止後は除雪が行われていなかったため、屋根に積もった雪の重みで潰れたものと思われる。
峠下駅はちょうど一年前の令和5(2023)年4月1日に留萌本線石狩沼田~留萌間が廃止になったのに伴い、営業を終了。その後は閉鎖されて扉や窓が板で塞がれ、立入禁止となっていた。
峠下駅は明治43(1910)年11月23日開業。駅舎の築年は不明だが、昭和29(1954)年に一部が建て替えられたとの記録がある。
駅があるのは留萌市と雨竜郡沼田町を隔てる恵比島峠の下で、周辺に人家が少ないことから鉄道ファンからは「秘境駅」として人気を集めていた。
留萌本線では唯一列車の行き違いが可能な駅であったため、タブレット閉塞から特殊自動閉塞になった平成10(1998)年3月まで駅員が勤務していた。
無人化後も冬期は除雪作業員が駅事務室に詰めており、冬の早朝に訪問した筆者も除雪作業のおじさんから「駅を背景に写真を撮ってあげようか」とご厚意を受けた思い出がある。
廃止に伴って除雪が行われなくなり、SNSには屋根に雪がうず高く積もった駅舎の写真が投稿されることもあった。現地を訪れた鉄道ファンからの投稿で、柱が歪んでいることが確認されたのが2月、そして3月31日には倒壊した駅舎の画像が投稿された。
北海道をはじめとした豪雪地帯では、無人の建物は冬を越すことができずに雪の重みで潰れてしまうとの話をよく聞くが、廃止になった駅の場合もまた同様で、現役の駅や廃止後も残っている駅が倒壊を免れているのは、近隣住民や管理者による日々絶え間ない努力のたまものだというのを改めて実感させられる。
令和2(2020)年4月17日で営業を終了し、5月7日に廃止された札沼線の晩生内(おそきない)駅も廃止後に積もった雪によって柱が折れており、倒壊の危険があることから令和3(2021)年5月末から解体された。札沼線は廃止から数年で駅設備の撤去が一気に進められたが、雪による倒壊を未然に防ぐ目的もあるに違いない。同じく廃止になった留萌本線や根室本線の駅舎についても、峠下駅のような事例を防ぐために早々と解体される可能性があるため、早めに見ておいた方がいいだろう。
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