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登山道に救急車はやってこない!貴方は何とかなるさ!で後悔したくないはずだ!

加藤智二日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン
山の様々なサイン 目立つものに気をとらわれすぎないこと ※写真はすべて筆者が撮影

 今日より明日は健康になりたいですね。自然の中にいるとき感じる爽やかな感覚が日常生活に戻ったときも残っているから、少しぐらい疲れるくらいでは山歩きは止められません。

 近づくゴールデンウィーク、笑顔が素敵な貴方に贈る山歩き中のトラブル防止ポイントを紹介します。

新緑のシャワーを浴びて歩く。緑が日ごとに濃くなっていくのを感じられる ※写真はすべて筆者が撮影
新緑のシャワーを浴びて歩く。緑が日ごとに濃くなっていくのを感じられる ※写真はすべて筆者が撮影

 はじめにお伝えするのは山で楽しい時間を過ごすために日頃心がけているポイントです。

  • ☆:体調不良、睡眠不足、思いつきで出かけない
  • ☆:知っていて、信頼できる、気の合う人と出かける
  • ☆:整備されたコースで自分の体力・歩行能力を定期的に自覚しておく
夕陽を背中に受けて! ※写真はすべて筆者が撮影
夕陽を背中に受けて! ※写真はすべて筆者が撮影

 次に実際に登山中に注意しているポイントを挙げます。

 一つ一つは単純なことです。経験値は個人差があるので無意識でおこなっていたり、体力と脚力やバランス力が優れているので気付かない方も多いかもしれません。丁寧におこなって習慣づけることがおすすめです。

  • ★:歩くだす前に現在地・目的地・ルートの確認は地図を見ながらおこなう
  • ★:下山完了時刻を想定した下山開始時刻を設定し全員で共有する
  • ★:暑さ寒さと運動負荷に応じた衣服調整を最初の30分以内におこなう
  • ★:小さな歩幅と小さな段差、緩急の少ない歩行を心がける
  • ★:小まめな栄養補給と水分補給、適切な休憩をおこなう
  • ★:分岐点・道標では地形観察と地図照合、時間経過の確認、計画の修正をおこなう
  • ★:登山中の視線は2割は遠目、3割は中目、5割で手元足元
  • ★:登山道の状況が変化する箇所では一旦停止で一呼吸、しっかり観察

 上記の行動が習慣化されることで基本的なチェックと状況確認とセルフチェックが素早く完了できるようになります。それによって登山中に遭遇する様々な変化や違和感に早めに気付くことができるようになります。

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 つまり、余裕が生まれるということです。余裕は脳機能が一点にフル活動している状態でなく、五感の感受性向上と行動の適切さに繫がります。自然の素晴らしさに気付くきっかけにもなります。

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決して、余裕=無駄 ではないのです。

登山メンバーの体調と体力に気を配るのはリーダーの役割です ※写真はすべて筆者が撮影
登山メンバーの体調と体力に気を配るのはリーダーの役割です ※写真はすべて筆者が撮影

 山頂に至るルートと季節を組み合わせれば、人の一生で登りきることができないくらい登山は幅広いものです。誰と登るかでもその山の印象はずいぶんと変わるものです。

 ウェブやSNS、雑誌などから行き先を探し出すのも楽しいひと時。自分が行きたい山やコースを選び、行きたいときに行くのが一番幸せなことですね。

標高2000mを超えると空の色が変わってくる ※写真はすべて筆者が撮影
標高2000mを超えると空の色が変わってくる ※写真はすべて筆者が撮影

 次に楽しく実りのある登山の参考にしてほしい点も挙げておきます。

  • 1:ネットやTVの映像はその山のある一面を紹介していると理解する
  • 2:自然の地殻変動と雨・風・雪など天候に人間は太刀打ちできないと謙虚になる
  • 3:ネット情報は発信者のプロフィールや登山性向などのチェックをする
  • 4:登山計画書の提出と山岳保険と傷害保険の加入はセットで考えておく
  • 5:余裕を持った行動時間を設定し、自然を観察し感じ、景色を堪能する
  • 6:ほかの登山者の行動に惑わされて登山ペースやスタイルを乱さない
  • 7:自然がどんな表情を見せても受け入れ、不安を感じたら下山する
  • 8:自然は舞台、道具は脇役、主役は自分。装備の軽量化は地道におこなう

北アルプス薬師岳 雲上のハクサンイチゲのお花畑 ※写真はすべて筆者が撮影 
北アルプス薬師岳 雲上のハクサンイチゲのお花畑 ※写真はすべて筆者が撮影 

 最後に生身の人間として忘れないでいてほしい点をお伝えします。

  •  「知っていること」と「できること」は違う
  •  「見ていること」と「認識していること」は違う
  •  「他人の経験と技術」と「自分の経験と技術」は違う

 身体を動かし汗をかいて自然の中を歩いて感じる感覚は誰にも奪われないし、奪うことができないその人だけの宝物です。大切に育んでいきたいものです。

 今日よりも明日の私を健康に!行ってらっしゃい!!

過去記事↓

  1. 山で疲れて動けなくなった!困った登山者がすべきことは自分の再評価である。
  2. 健康寿命に関心があっても動けない人に伝えたい!自然に親しむ山歩きが生み出す9つのメリット
  3. 山に登る目的はなんですか?みんなが行くからじゃない!自分のための山歩きを見つけよう

 ※1:潜在能力を引き出す行動やリスクは高いが未知なるものへ挑戦することは私たち人類が大切にしなければいけないことですが、そのジャンルのエキスパートがとる行動であって、レジャーや健康目的とは別物と考えています。

 ※2:今回は登山に必要な装備その他については触れませんでした。目的に応じた装備、自分や同行者の安全に必要な装備などは別の機会に改めてお話ししたいと思います。

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン

ネパール・パキスタン・中国の8000m級ヒマラヤ登山を経験。40年間の登山活動で得た登山技術、自然環境知識を基に山岳ガイドとして活動中。ガイド協会発行「講座登山基礎」、幻冬舎「日本百低山 日本山岳ガイド編」の共同執筆。阪急交通社「たびコト塾(山と自然を学ぶ)」、野村證券「誰でもできる健康山歩き」セミナー講師。山岳・山歩きに関するテレビ番組への出演・取材協力。頂上を目指さない脳活ハイキングの実践。神戸市須磨区カルチャー教室講師、一般社団法人日本山岳レスキュー協会社員、公益社団法人日本山岳ガイド協会 安全対策委員会・登山ガイド養成学校委員会 担当理事、日本プロガイド協会所属 山岳ガイドステージⅡ。

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