誰にも奪われない宝物、それが体験。自然の中でスペシャルな時間を過ごすのに必要なこと #専門家のまとめ
見慣れた景色と穏やかな日常生活を手に入れることの安心感は何物にも代えがたい財産です。しかし、人は感動し創造することができる生き物、非日常を必要としています。
人が創り出すことができない自然と体験を通じて、私たちは感動し仲間と語らい、時に無我で歩き、時に静かに瞑想したりします。自然に身を置くことで好奇心や危険に対する感受性を高めることができます。
一生忘れることのない体験となるか、二度としたくない体験となるか。自然環境に身を置く以上、自分と仲間の持つ知恵と知識、経験と体力、装備を駆使した自助共助が基本となります。
ココがポイント
▼登山は疲れるのが当たり前である。目標と覚悟をもつことを忘れてはいけない。
・登山は誰にでも門戸が開かれているスポーツ、だからこそ覚悟を決めて登らなくてはいけないのです!(Yahoo!ニュースエキスパート 加藤智二)
▼登山を自分の人生を豊かにする手段と位置付けて、自分の登山志向の再確認が必要である。
・山に登る目的はなんですか?みんなが行くからじゃない!自分のための山歩きを見つけよう。(Yahoo!ニュースエキスパート 加藤智二)
▼緊急時の備えは大災害時やその節目となる場面で取り上げられることが多いですが、野山の中では自助が基本なのです。天候変化への対応や体調管理は実際に体験しなければ身につきません。
・今日はもう最悪!と感じたとき、心の平静を保つのに役立つ、山から学ぶ五つのアドバイス(Yahoo!ニュースエキスパート 加藤智二)
▼現代は登山コースや天気気象などの情報が増え、登山装備は軽量化が進んでいます。
・週末は山登りですか?「その計画と装備、命の軽量化になっていませんか?」(Yahoo!ニュースエキスパート 加藤智二)
エキスパートの補足・見解
登山は標高を上げていく行為です。標高を上げることは気温が下がり、低圧となり、水蒸気は雲となり、強風は地形というファクターを受けて縦横無尽に吹き荒れる世界であることを認識する必要があります。地殻変動や火山活動、かつての氷河活動と河川浸食作用によって常に変化している世界です。コントロールされた快適空間ですごし慣れた現代人にとって過酷な世界であると改めて認識が必要です。
登山を通じて”非日常の体験”を得るには、生活と仕事で日々を過ごす管理された日常とは異なる準備と計画が必要となります。どういう装備が必要であるかは既に十分すぎるほど情報として流通しています。他人の登山体験も同様です。
自分にとって刺激的で未知なる体験を求める過程で、他人の情報を活用し日常から非日常に短絡して登山する人が増えてきました。
登山するのに許可は要らないからといって自己流がなんでも許容されるわけではない。先人の失敗から導き出されたルールを守ることが大切なのです。
目的とする山とルートが自分の技量に適切でなくても、結果登れてしまうことがほとんどでしょう。そんな「頑張った自分を褒めてあげたい!」といったレベルの山登り、本当に自分がしたい山登りですか?
不足しているのは他人の追体験ではない”身の丈に応じた実体験”なのです。背伸びもジャンプも一段抜かしも大歓迎ですが、基礎技術と基本が無ければ、それはまさに”砂上の楼閣”。取り返しのつかない失敗に直結です。失敗を恐れる必要はなく、失敗は必要なことなのです。自分で考え、実行した失敗は財産であり、自分の基礎になっていくのです。
ニュースに出る”他人の失敗”は”明日の我が身”です。学ぶべき点はあるのか、準備すべき点に抜かりはないか。
そのうえで認識すべきは装備や知識が山に登るのではなく、登るのは貴方だということです。体力・歩行力・担荷力・気力に加えて、知識と装備を使いこなす知恵と工夫、身体と頭脳の総力戦なのです。
同じ体験は二度とない自分だけの誰にも奪われない宝物なのです。