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鳥栖と大分。それぞれの3バックの相違点

杉山茂樹スポーツライター
(写真:松尾/アフロスポーツ)

 首位を快調に走る川崎フロンターレ。そのサッカーから漂う雰囲気が、2、3シーズン前までと、だいぶ変わっていることに改めて気付かされる。かつては、マイボール時に重心を置いた、パスを繋いで相手を翻弄するパスサッカーだった。そのスタイルを保ちながら、相手ボール時の対応を格段に厳しくしたのが、現在の姿だ。

 ボールを奪われるや、相手のボール保持者に間髪入れず襲いかかる。可能な限り早く奪取しようとする。攻守の切りかえが速いと言うより、2つの局面を切り替えずに連続させようとする。相手ボールに転じても残念がらず、マイボール時と同様のエネルギーを、同様の精神状態で注ごうとする。

 川崎は、巧いけれどどこか緩かったかつてから、巧さと厳しさを高次元で拮抗させたプレッシングサッカーへと変身した。サッカーのレベルもその分だけ上昇。日本の歩むべき方向性を明示するかのような、模範的サッカーを展開している。

 日本代表が果たすべき役割を、それに代わって演じているといっても言い過ぎではない。Jリーグには、非川崎的なチームが依然として散見されるが、流れが変わりつつあることも事実。なにより肝心の森保ジャパンが、ずいぶん川崎的になった。3月末の試合では今回はA代表のみならずU-24も、守備的と言われても仕方のない3-4-2-1ではなく、4-2-3-1で戦っている。モンゴル戦では、川崎が定番にする4-3-3も採用した。

 川崎の4-3-3は、アンカー(ジョアン・シミッチ)が、相手ボールに転じると、2人のセンターバック(CB)の間に降り、ビルドアップの起点となる。と同時に、両サイドバック(SB)が高い位置を取る。4-3-3は3-4-3的な布陣に変化する。前回のこの欄で、森保ジャパンが次にトライすべき布陣だと述べたスタイルを取る。

 3バックには、森保監督が好む3-4-2-1のような守備的な3バックもあれば、4-3-3のコンセプトを維持した攻撃的な3バックもある。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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