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川崎が独走するJリーグを、日本サッカー界はもっと心配した方がいい

杉山茂樹スポーツライター
(写真:アフロスポーツ)

 J1リーグで首位を行く川崎フロンターレと、それを3ポイント差で追う2位名古屋グランパスの一戦が、昨日(4月29日・金曜日)豊田スタジアムで行われた。

 結果は0-4。注目された首位攻防戦は、ホーム名古屋の大敗劇に終わった。勝ち点差は6ポイントに広がり、J1リーグは昨季に続き、川崎の独走状態に入ろうとしている。

 来る5月4日に早くも行われる、川崎対名古屋の折り返しの試合で、川崎が再度、勝利すれば、独走は決定的なものになり、リーグ戦の魅力は減退必至だ。名古屋の奮起に期待したいが、川崎がメンバーを落とすなど、手心を加えない限り、勝利は難しそうな気がする。昨日の試合を見て、両チームの間に大きな差が存在することを、再認識させられた次第だ。

 J1リーグ上位の並びは以下の通りだ(4月30日現在)。

1位)川崎35(13試合)

2位)名古屋29(13試合)

3位)サガン鳥栖23(12試合)

4位)横浜F・マリノス21(10試合)

5位)セレッソ大阪20(12試合)

6位)ヴィッセル神戸20(11試合)

 試合数に多少、バラツキがあるとはいえ、優勝の可能性があるのは、せいぜい横浜FMまでだろう。三笘薫、田中碧など、川崎の若手がシーズン途中、欧州のクラブに引き抜かれない限り、川崎の優勝は7割方、堅そうに見える。

 Jリーグは、川崎が2位ガンバ大阪に勝ち点18差を付けて圧勝した昨季の二の舞を演じてしまうのか。心配は募るばかりだ。川崎がよいサッカーをしていることは確かだ。それについては、この欄でこれまでにも何度か触れている。日本サッカー史上、最高のサッカーを展開している。鬼木達監督は日本代表監督に据えたいくらいだ、と。

 相手ボールを奪い返す位置が高いので、相手陣内で連続して攻撃できる。自軍まで相手に攻め込まれる回数が少ない。監督の選手の使い回しが巧い。多くの選手に出場機会が与えられている……。よいところを挙げればきりがない。

 しかし、筆者はそれでも川崎に対して不満がある。チームというよりクラブに対してだ。昨季から抱いていた不満でもあるが、それは外国人枠(5人)を満たしていない点である。昨季に続き、今季もその数は4人。昨季、ほとんど出場機会のなかったジオゴ・マテウスというサイドバック(SB)に代わり、獲得したジョアン・シミッチが、スタメンとして活躍しているので、ほぼ常時ピッチに立つ外国人の数は3人から4人に増えた。しかし一方で、日本代表級の守田英正を放出しているので、戦力的にアップしたという印象はない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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