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投資に最適とされる超高層マンション下層階1LDK、地方都市でも「買い」か

櫻井幸雄住宅評論家
超高層マンションの下層階に設定される1LDKは投資家に人気が高いのだが……。(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 超高層マンションで、投資家に人気が高いのは、面積が小さくて、下層階に設定される住戸。分譲タイプの超高層マンションの場合、1階2階には住戸が設けられず、共用部となることが多く、3階とか4階が住戸の最下層となるのだが、その下層階1LDKは投資家の熱い視線を集めることになる。

 理由は割安価格で分譲されるため、賃貸として活用するのに最適であるからだ。そういった目的での購入者が多いだろう、と見越し、売る側もさらに安くするための工夫を凝らす。

 下層階であるだけでなく、北向きや西向き、目の前が線路や高速道路になっている向きなど、あまり喜ばれない向きの住戸に1LDKを設定する。

 加えて、設備仕様のレベルも落とす。2LDK以上に標準仕様となる食器洗い乾燥機を外し、ガスコンロは3口ではなく2口にする。なかには、1LDKだけディスポーザーが付いていない、という超高層マンションも過去にはあった。

 人気のない向きで、設備を削り取ることで、分譲価格はさらに安くなる。中層階の66平米3LDKが6000万円台のとき、下層階の33平米1LDKは2300万円とか2400万円といった価格設定を実現するわけだ。

 そのように、向きがわるく、設備仕様のレベルが低い1LDKでも、賃貸で借りる人は気にしない。「超高層マンションに住めば、共用施設、サービスを利用できる」ことや「セキュリティのレベルが高い」こと、そして「マンションの周囲に買い物施設があって便利である」ことなどに魅力を感じるからだ。

 つまり、投資家にとって、超高層マンション内の1LDKは、安く購入できて、賃貸で貸しやすい物件となり、人気が高まっているわけだ。

 その結果、超高層マンション下層階の1LDKには購入者が殺到。10倍以上の抽選になることが多い。東京や大阪、名古屋の超高層マンションの場合は……。

 じつは、地方都市の超高層マンションでは、東京、大阪、名古屋とは異なる事情があるのだから、不動産は奥が深い。

地方都市によくある特殊な賃貸事情

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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