【山梨/大月】桃太郎伝説が伝わる大月市には”お地蔵さん”が手に桃を持ってるってホント?
はらぺこライターの旅人間です。今回は山梨県大月市にある有名なお地蔵さんについて紹介しましょう。一体何が有名なのかと言えば…お地蔵さん(岩船地蔵)が手に持っているのは宝珠ではなく「桃」だというのだ。
一体なぜ桃を…?
ここはJR大月駅の北側に巨岩がドーンとそびえ立つ迫力満点な岩殿山の麓。
岩殿山と言えば武田二十四将の一人・小山田信茂の山城のあった場所。小山田信茂は勝頼を裏切り武田家を滅亡に導いた人物とされてきた。
しかし最近の研究では、私利私欲の裏切りではなく城下が戦場になり民衆の命が失われるのを避けるための決断だったという説が濃厚とされている。
興味のある方は岩殿城跡まで足を運んで展示資料など見て欲しい。きっと、新しい発見に出会えはずだ。
また、この岩殿山には鬼が住んでいたとも伝わっている。山の中には鬼の住処とされる「鬼の洞窟(鬼の岩屋)」がある。
その鬼は桃太郎によって倒されたと伝わる。
そう!この山梨県大月市には「桃太郎伝説」が残されている。桃太郎軍団との激闘のすえ、攻撃に耐えかねた鬼は逃げ出し、隣の「徳厳山」に足をかけると股が裂けてしまった…。
この岩殿山に住む鬼の話を聞いた時、私は武田家を裏切った小山田信茂を「鬼」と見立て比喩したのではないか?って少し思った。しかし、それは違った。現地に来るとそんな推測は全くの見当違いだと分かる。
大月市に伝わっている「桃太郎伝説」は想像を遙かに超えて奥深い。
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桃太郎伝説とお地蔵さんは関係があるのか?詳細までは不明だ。
しかし、この地域では「お地蔵さんが左手に持っているのは宝珠ではなく桃」と伝わっており、「桃太郎伝説」もある。それは紛れもない事実なのだ。
桃は厄除けや魔除けなど邪気払いとしても知られている。
聞いた話になるが、中国では桃で鬼を退治する話があるそうだ。日本でもにイザナキとイザナミの話の中で桃の実を取って投げヨモツシコメ(黄泉醜女/黄泉の鬼女)を追い払うシーンがある。
つまり、桃には邪気を払う力が宿り、鬼を退治するための神聖なアイテムといった感じだろうか。
それにしても…どうして「桃」にそんな力があるのか?
諸説様々あるが、桃は実りの多いので「百(もも)」と記されることがあるように多産力の神秘、また桃の果実が女性の生殖器に似ていると捉えた生命誕生の神秘といった考え方が原点としてあるという。
桃は、昔から邪気を祓い不老長寿を与えるとして信じられてきた。「桃太郎」の物語は「桃から生まれた」という話が一般的だが、地域によっては「桃を食べた老夫婦が若返って子供を産んだ」という説もある。
まぁ~要するに…桃は神秘的なのだ。
そう考えると、鬼の伝説が伝わる地にお地蔵さんが桃を手にしてて何ら不思議はない。そんな風に感じてくる。
少し話は戻るが、日本神話で桃の実を投げ黄泉の鬼女を追い払うシーン。桃が鬼を払う…。桃太郎が鬼を退治する。このような共通点もまた興味深い。そんな視点で民話が残る地を訪ねてみると更に楽しくなる。
岩船地蔵(桃を手にするお地蔵さん)
住所:山梨県大月市賑岡町岩殿
地図(外部リンク)
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