【代々木公園】チーズケーキ味の練り切りも!新感覚のネオ和菓子が楽しめる奥渋の甘味カフェ
カフェライターなかくき くみこが実際に足を運んだ1,500軒以上のカフェのなかから、大人が心から満足できるような素敵なカフェを紹介する連載「大人のための東京カフェ案内」。第9回目は、奥渋にオープンした最新の創作和菓子が楽しめるお店を紹介します。
外観とのギャップが楽しい、落ち着いた和の空間
2023年3月、代々木公園駅のほど近くに移転オープンした「かんたんなゆめ」。
もともとは2019年に渋谷で間借りカフェとしてスタートし、その後日本橋に実店舗を構えていましたが、建物の建て替えにより移転。「和菓子をカジュアルに楽しんでもらうため、公園の近くに店を開きたい」という店主 寿里さんの思いにより、代々木公園そばにオープンしました。
現店舗は、かつて資産家の豪邸の一角だったというピンク色の建物をリノベーションした一軒家カフェ。1階には注文カウンターと2つのテーブル席、2階には6つのテーブル席を用意しています。
エキセントリックな外観からは想像できないほど、店内に広がるのは落ち着いた和の空間。なかでも掛け軸が飾られた2階は、茶の湯の世界観を思わせるようなミニマルなしつらえに。丘の上にあるため、客席の間を時折心地いい風が吹き抜けていきます。
地元宮崎での温かな記憶がベースに。この街でほっとする味と場所を提供したい
「かんたんなゆめ」で味わえるのは、店主寿里さんが手作りする四季折々の和菓子。デザインはモダンで独創的でありながらも、和菓子の伝統的な文化や技術を大切にし、食べる人が温かい気持ちになれるものを目指しています。その理由は、寿里さんの子ども時代の思い出がベースになっているから。
「“田舎あるある”なのですが、地方には和菓子も洋菓子も販売している町のお菓子屋さんがあるんです。小さい頃よく通っていて、子どもからおばあちゃんまで世代を超えてみんなで食べるおやつの時間が大好きでした。ここもそういうアットホームな気持ちになってもらえるお店にしたい」と、寿里さんは話します。
「かんたんなゆめ」の看板商品は、「嬉々」という練り切り。練り切りは通常、白餡とつなぎの材料で作られますが、同店ではそれにクリームチーズを加えています。これは寿里さんの故郷である宮崎の文化を知ってもらいたいという思いから、宮崎の銘菓「チーズ饅頭」をもとに考案したのだそう。
「嬉々」は季節に合わせてデザインを変え、これまでに生み出した練り切りは100種類以上。今夏は七夕やうちわ、向日葵などが登場中です。
季節の練り切りから漆黒の最中、ピスタチオ羊羹など多様な和菓子たち
同店では練り切り以外にも、上生菓子を中心に常時10種類ほどの和菓子を取り揃えています。
単品でも注文可能ですが、練り切り1種とその他の和菓子から2種が選べる「3種セット」(1,300)を注文する人が多いそう。今回は寿里さんにオススメを伺いながら下記の3つを選んでみました。
・練り切り「花火」
皿の中央にあるのは、今夏登場している練り切りの一つの「花火」。レモンや白餡で作る黄身餡の中にクリームチーズを入れ、その周りを白玉粉をつなぎにした練り切り餡で包み込んでいます。
味わいは和風レアチーズケーキのような趣で、白餡の優しい甘さとクリームチーズの塩気のコントラストが魅力的。美濃加茂茶舗が手がける同店のオリジナルブレンド「美濃白川煎茶」とも相性ピッタリです。
・洋風最中「来る暮れ」
「嬉々」の左側にあるのは、漆黒の「来る暮れ」。粒餡を混ぜた胡麻バタークリームを、胡麻や竹炭を入れて焼き上げたサブレでサンドしています。サクサクッとした食感で、バターと粒餡が織りなす甘じょっぱさが後をひく美味しさ!
「最中を現代風にするとどうなるだろう」という発想から生まれた商品で、リピートする人も多い人気商品です。
・季節の和菓子「七変化」
紫陽花をモチーフにした「七変化」(7月中旬まで提供予定)は、キラキラ光る南高梅の寒天で白餡を包んでいます。アルコールは不使用ですが梅酒を彷彿とさせる風味で、夏らしい爽やかな味わいです。
多忙な日々の中で気づいた、和菓子が秘める魅力
宮崎県日向市で生まれた寿里さんは高校のパティシエ科を卒業後、全国展開している外資系飲食チェーンに就職。西日本エリアの店舗の立ち上げに関わり、いろんな都市を飛び回りながら早朝から深夜まで働くような忙しい日々を送っていました。
ある日、仕事のことで悩んでいた寿里さんは、話を聞いてもらうため知人の家を訪問。そこで出されたのが紅葉をモチーフにした羊羹と抹茶でした。「悩みを聞いてもらおうと思って行ったのですが、目の前に出されたきれいな羊羹と点てたての抹茶に見とれて、悩みが頭から一瞬切り離されたんです。あぁ、和菓子にはそんな魅力があるんだなって」。
この出来事をきっかけに寿里さんは和菓子、なかでも繊細な意匠が施された羊羹や練り切りなどの上生菓子に強く惹かれていったのだそうです。
西日本エリアを担当していた時は、休日には京都や大阪にある甘味処を巡り和菓子を楽しむ生活を送っていましたが、東京に長期出張で訪れていた際、上生菓子が楽しめる店の少なさに驚いたそう。またよく通っていた和菓子店が閉店してしまうという状況にも遭遇。
和菓子文化を残していくため、これまで和菓子にあまり親しみがなかった人たちにももっと身近にカジュアルに楽しんでもらいたいと開いたのが、「かんたんなゆめ」なのです。
美しい和菓子を前にすると、それまで手に持っていたスマートフォンを自然と横におき、じっと見つめたり、味わったりしたくなるもの。和菓子には、心や頭の中を整えてくれる力があるのかもしれません。
ここでしか味わえない季節の和菓子を楽しみに、奥渋へ足を運んでみませんか。
【店舗情報】
店名/かんたんなゆめ
住所/東京都渋谷区神山町41-3
公式サイト/https://www.instagram.com/kantan.na.yume/(外部サイト)
アクセス/東京メトロ千代田線 代々木公園駅より徒歩7分、 JR渋谷駅より徒歩11分
定休日/月曜(祝日の場合は営業)、不定休あり
営業時間/12時〜18時30分(L.O.18時)
※新型コロナウイルス感染症対策により店舗の休業や営業時間の変更など、掲載内容と異なる場合があります。訪問される前に最新情報をご確認されることをおすすめします。
本連載では、今後も大人の皆さんにおすすめの魅力的なカフェを紹介していきます。ご興味のある方はぜひプロフィールからフォローをして頂けるとうれしいです。日々のカフェ巡りはインスタグラム(外部サイト)やツイッター(外部サイト)に投稿しています。
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