自家製あんこたっぷりのたい焼きとコーヒーが堪能できる築約100年の古民家カフェ
カフェライターなかくき くみこが実際に訪れた1,600軒以上のカフェのなかから、大人が心から満足できるような魅力的なカフェを紹介する連載「大人のための東京カフェ案内」。第23回目は、焼きたてのたい焼きとスペシャルティコーヒーが楽しめる古民家カフェを紹介します。
約100年前に建てられた長屋をリノベーションした古民家カフェ
東武亀戸線小村井駅を降り、下町風情ただよう道を10分ほど歩いた先に、カフェ「off COFFEE.」があります。昭和元年頃に建てられた長屋を改築した店舗で、店内には古びた梁や柱が当時のまま残されています。
目の前の線路には時折、二両編成の電車が通りすぎ、窓の外で「カンカンカン......」という踏切音が鳴ります。そんなのどかな光景に自然と心が和らぎ、思わず東京にいることを忘れそうに。
実はコーヒーの名店が多い墨田区。同店では品質の高い豆を使用し、注文を受けてからハンドドリップで一杯ずつ抽出するコーヒーや、カフェラテなどのエスプレッソメニューを提供しています。
コーヒー豆は常時5種類用意しており、この日は中国雲南省のコーヒーを注文。カップから立ちのぼる華やかな香りと後味の甘さが楽しめる、満足の一杯でした。
人生を大きく変えた、一杯のコーヒー
現在はコーヒー店を経営する堀内さんですが、もともとコーヒーは苦手だったそう。福岡に住んでいた頃たまたま立ち寄った店で、それまでコーヒーに抱いていた印象を一変させるような、衝撃の一杯と出会ったのだそうです。
店のメニュー表を見ると産地別でコーヒーが選べるようになっていましたが、コーヒーについて詳しくなかった堀内さんは、発展途上国に興味があったという理由でケニアのコーヒーを注文。
そして目の前に運ばれてきたコーヒーを一口飲んでみると、「えっ、これがコーヒーなんだ! 美味しい……」と驚いたそうです。それまで飲んでいたものとは別物かと思うほどの、爽やかな味わいを感じました。
実はその店は、アジア初のバリスタ世界チャンピオン井崎英典氏の実家が営む自家焙煎珈琲店「ハニー珈琲」でした。英典氏の父であり店のオーナーの井崎克英氏は、国際品評会で審査員を務めるなど福岡のコーヒー文化を牽引してきた立役者の一人です。
克英氏からコーヒーについて話を聞き、堀内さんはますます興味を引かれていきます。そして克英氏から誘われるがまま、その日のうちに「ハニー珈琲」で働くことを決断。それから二年半、コーヒーについてそこで一から学んだのです。
時間をかけて丁寧に炊く自家製あんこが自慢のたい焼き
店をオープンするにあたり、堀内さんがコーヒーのお供に選んだのは、たい焼きでした。あんこの優しい甘さが、コーヒーの持つ繊細なフレーバーと相性が良いと考えたからです。
たい焼きの作り方については、東京に戻ってから働いていたコーヒー店に客として訪れていた、たい焼き専門店のオーナーから直々に伝授されたそう。
ツヤツヤでふっくらとしたあんこは、北海道産小豆を使用し、途中で水を3度替えながら2時間半かけて丁寧に炊いています。
生地は北海道産小麦粉やきび糖のほかベーキングパウダーを使用しており、もちっとした弾力のある食感が魅力です。
具材は「あんこ」、「クリームチーズあんこ」、「カスタード」、「季節限定」の4種類を用意しています。
なかでも「クリームチーズあんこ」(330円)は2021年にオープンして以来の人気商品。チーズの酸味とあんこの甘じょっぱさが、たまらない一品です。
この日提供されていた季節限定商品は「おいもとあんこ」でした(現在は「お芋とりんご」を提供中)。さつまいもの甘露煮がサクサクッとした食感で、もちもち食感の生地と相性バツグン!
福岡に住んでいた頃よく食べていたという「いきなり団子」からインスピレーションを受けて開発したそうですが、ぜひまた復活してほしいと願いたくなる味わいでした。
たい焼き以外には、自家製あんこを使った「あんバタースコーンサンド」(400円)も人気です。バターとあんこの相性は、もう言わずもがなですね。
100年近い歴史を持つ建物の中で、風味豊かなコーヒーとたい焼きが楽しめる「off COFFEE.」。コーヒーとの出会いで人生を変えた彼女が作り出す一杯を味わいに、足を運んでみませんか。
【店舗情報】
店名/off COFFEE.(オフコーヒー)
住所/東京都墨田区文花3-2-1 踏切長屋
公式HP/https://www.instagram.com/off__coffee/(外部サイト)
アクセス/東武亀戸線 小村井駅より徒歩9分
定休日/水、木曜
営業時間/12時〜19時
※新型コロナウイルス感染症対策により店舗の休業や営業時間の変更など、掲載内容と異なる場合があります。訪問前に最新情報を確認されることをおすすめします。
本連載では、今後も都内にある魅力的なカフェを紹介していきます。ご興味のある方はプロフィールからフォローして頂けるとうれしいです。