転ぶな危険!小さなミスと大きな代償 人気の水平道に相次いだ転落死 あなたもチェック!9つの認識テスト
素晴らしい景色は誰もが見たいと願うものです。日本有数の豪雪地帯の黒部、雪解けと新雪の狭間の限られた期間のみ踏破できると聞けば多くの方が、いつかは目標としたくなる気持ちは十分理解できます。
残念なことに気持だけでは無事にすまないことが、今年も証明されてしまいました。阿曽原温泉小屋の情報を紹介しながら自分にこのコースを歩く「登山のチカラ」があるか検証していきます。
直感であてはまるものはあるでしょうか。
1:「登山地図に記載された登山道は誰もが歩くことができる道である」
2:「水平道だから登り下りはあまりないので体力を使わずに済むはずだ」
3:「100m転落したら死ぬと思っているけど、50cmくらいなら大丈夫だ」
4:「ロッククライミングルートではないから、危険個所は橋・梯子・鎖で整備するのが当然だ」
5:「ヘルメットをかぶれば、落ちても安心だ」
6:「登山道は毎年同じ場所に変わらずあるものだ」
7:「月に1回は登山しているから体力面では大丈夫だ」
8:「齢は取ったが体力には自信もあり若い時の経験もある」
9:「インターネットのレポートで最新情報をチェックしているから安心だ」
いくつ自分に当てはまると感じたでしょうか。
9つのチェック項目、いくつ「YES」がありましたか。
一つでも該当したら自分の改善余地が見つかったと喜んで良いかと思います。
今日から来年2020年秋の黒部下の廊下を安全に楽しく歩くための登山習慣を始めてみませんか。
1:登山道は楽しくお喋りしながら歩けるハイキング道もありますが、不安定な足元で手足を駆使するような箇所、リュックサックが引っ掛かりバランスを崩すような箇所、実に多種多様の登山道があります。両手両足を使う岩場が混じる登山も定期的に行うようにしましょう。河原歩きもおすすめです。
ポイント:見るからに危険な場所が終わったところが要注意。急ぐあまりの不注意や緊張感の緩みから起きるつまづき転倒による転落が多いです。
これも参考「「自分は大丈夫!」が一番あぶない。ホッと気を抜いた時に起きる転倒。その訳は?」 ⇒ こちら
2:水平道は何か所も沢を横切ります。不安定なアップダウンは体力を奪います。小まめな水分と栄養補給が欠かせません。
ポイント:頂上ひとつを目指すピークハント登山だけでなく、ピークをつなげる縦走登山をしてみましょう。長時間歩行を続けるために必要なスピードコントロールと水分栄養の補給のノウハウを身につけていきましょう。
3:歩いている道は平坦でも、転がったら河原まで一直線。絶対に止まりません。一見して技術的に問題ないように見える場所で事故は発生しています。
ポイント:集中力は長続きしません。先は急ぐとも適度な休憩をとります。肉体だけでなく頭脳にも休息と栄養が必要なのです。
4:登山道維持は山小屋の皆さんの労力に依存しています。最も危険と思われる箇所に資金と労働力をあてざる負えません。登山者自身が判断して最も安全と考えられる行動をとることが必要なのです。既に設置された全ての人工物(クサリ、梯子、番線、桟橋など)を無条件に信用せず一人ひとり慎重に通過することも必要です。
ポイント:登山はバリアフリーではありません。不整地や不安定な道を登り下りを実際に行うことで脳との連動が構築されます。日頃からバラエティに富んだコースを楽しむようにしましょう。
5:黒部川に転がり落ちたらヘルメットをかぶっていても致命的です。
しかし、頭部を岩にぶつけるのは転倒・滑落の時だけではありません。身をかがめる様な圧迫感がある登山道では頭部を不意に打ち付けることは意外に多いものです。頭部の怪我は出血も多く、登山の継続を困難にしてしまします。
ポイント:ヘルメットはあご紐を確実に気合を入れてさぁ出発!行動中は常にかぶりリスクを減らします。
6:登山道やそこに設置された構造物は積雪や融雪後に緩んだ岩石によって破壊されることがあります。
基本的に全ての山や岩石は水の染み込みによる凍結と融解による風化、重力による下方への移動という自然の摂理から逃れることはできません。その場で状況を観察し判断します。自分とメンバーの実力で通過できるか決めることができる「登山のチカラ」を養いましょう。
ポイント:グループ登山で先頭を歩いてみましょう。分岐点やちょっと緊張感が感じられる場所で立ち止まり、観察し、地図と照合し、自分の判断をメンバーに伝えてみましょう。「判断を下す」小さな積み重ねが大切です。
7:普通の健康つくりには月に一回程度山歩きが良いですが、身体への負荷が大きいアルプスでの登山を考えているのなら、計画的に山歩き計画を立てていきましょう。
ポイント:月に一回は歩行時間10時間、歩行距離20km程度を歩く登山を実行しましょう。これは自分一人の意志では挫折することが多いので、仲間と実施するのが良いでしょう。歩き慣れた山を見直す良い機会ですし、四季を通じて様々な天候条件のもとで山々を繋げて歩くことで新しい発見もあることでしょう。
8:若い頃の経験と思い出は自宅のアルバムで語るのが無難です。登山は老若男女に開かれた生涯スポーツですが、事故の多くが単独行且つ高齢者であるのが現実です。いくら自分で望んでも、残念ながらもう手の届かないところにいってしまったコースがあることを認めなくてはいけないこともあります。
ポイント:過去の経験に頼ってはいけません。大きな記念すべき計画の直前三ヶ月における山歩きは六回を最低ラインとし、雨の中や楽しみながらの山歩きも混ぜながら十回を目指すようにしましょう。
9:体力・経験・季節・天候、すべてが違う条件の登山であって、各個人の自由な視点で書かれていることを忘れてはいけません。自身の観点を見失わず参考程度にしましょう。登山は必要な装備をリュックサックに詰めて背負い歩きます。体験するために必要なもの、その時の季節と天候、自分を含めたチームの歩くチカラは二つと同じものはありません。自分で考え想定して計画して準備するものなのです。
実力の70%を想定し、常に余裕を持った計画を立ててください。小さな失敗を繰り返すことで実力は向上します。勘違いの軽量化はもしもの時に後悔することになります。
ポイント:自分の好きな山歩きスタイルを見つけて他人と比較しないようにしましょう。それでもという方は山岳ガイドに雇って自分に足りない要素を補って登山をしてはいかがでしょうか。
こちらも参考「週末は山登りですか?「その計画と装備、命の軽量化になっていませんか?」 ⇒ こちら
10月いっぱいで阿曽原小屋の営業は終了です。