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リンゴ病が感染拡大 妊娠中の影響について知っておくべきこと #専門家のまとめ

重見大介産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士
(写真:アフロ)

伝染性紅斑(リンゴ病)の感染が拡大しています。

子どもに多い疾患ではありますが、妊娠中に感染すると流産や胎児の異常を引き起こす可能性があり、関連学会が注意喚起をしています。

今回は、産婦人科医として皆さんに知っておいてほしいことをまとめました。

ココがポイント

頬が赤くなる感染症、いわゆる「リンゴ病」の患者数が東京都で過去最多となりました
出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/12/5(木)

神奈川県は5日、両頬に赤い発疹が出る伝染性紅斑(リンゴ病)の流行警報を発令した。発令は確認できる過去10年で初めて。
出典:読売新聞オンライン 2024/12/7(土)

日本産科婦人科学会は10日、2025年は全国的な流行が危惧されるとして、子どもとの濃厚接触や食器の共有を避けるなど、妊婦に感染対策の徹底を呼びかけた。
出典:共同通信 12/10(火)

エキスパートの補足・見解

リンゴ病は「パルボウイルスB19」が引き起こす感染症です。日本では約5年ごとに流行を繰り返しています。

通常、風邪のような症状が出現し、その後に両頬などに赤い発疹が出る経過をたどります。子どもに多く、1週間程度で回復することが多いです。

しかし、妊婦さんが感染すると流産や胎児貧血、子宮内死亡を引き起こす可能性があり注意が必要です。なお、胎児感染の確率は約20〜40%程度とされていますが、妊娠中期以降の胎児感染では影響が出にくくなります。感染が不安な場合は、健診先で抗体検査やエコー検査について相談しましょう。

ワクチンはなく、基本的な感染対策以外の予防法が確立されていないので、まずはしっかりした知識を持ち、日頃からの感染対策( 感染者の咳やくしゃみを吸い込まないようにマスクをする、感染者と食器などを共有しない、よく手を洗う・こまめにうがいをする等)を徹底していただくことが大切です。

妊婦さん自身だけでなく、ご家族や職場の皆さんなどが注意することで、感染リスクを下げることができます。ぜひ意識してこの冬を過ごしていただければ幸いです。

産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士

「産婦人科 x 公衆衛生」をテーマに、女性の身体的・精神的・社会的な健康を支援し、課題を解決する活動を主軸にしている。現在は診療と並行して、遠隔健康医療相談事業(株式会社Kids Public「産婦人科オンライン」代表)、臨床疫学研究(ヘルスケア関連のビッグデータを扱うなど)に従事している。また、企業向けの子宮頸がんに関する講演会や、学生向けの女性の健康に関する講演会を通じて、「包括的性教育」の適切な普及を目指した活動も積極的に行っている。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません。

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