博多ラーメンと何が違うの? 今さら聞けない長浜ラーメンの秘密
市場で働く人のために生まれた「長浜ラーメン」
長浜ラーメンとは福岡の博多漁港に面する長浜エリアで生まれたラーメンのこと。1952(昭和27年)に開業した屋台『元祖長浜屋』(福岡県福岡市中央区長浜2-5-25)がその発祥と言われている。創業当初は中洲などの町中に出店していたが売れず、当時大浜にあった魚市場前で営業するようになると、魚市場で働く人たちの支持を受けて盛況となった。
1955(昭和30)年に市場が長浜に移転したことにより、長浜に多くの屋台が軒を連ねるようになったが、その後条例の改正や場所の変更などによって長浜の屋台は減少の一途を辿り、最終的には2軒だけとなってしまったが、2023年6月に公募による新たな屋台が7軒オープンし、『長浜屋台街』が完全復活。地元客や観光客が再び長浜の地を訪れるようになり、活気をみせている。
長浜ラーメンは豚骨スープに細麺を合わせた豚骨ラーメン。競りなどで忙しく時間がない魚市場の人たちのために、麺は細麺で茹で時間を短縮して素早く提供出来るようにした。博多ラーメンなどでもお馴染みの「替玉」は長浜で生まれたもの。伸びやすい細麺は大盛りに出来ないため、一杯の麺の量は少なくしてお替わりが出来るようにしたのが始まりだ。
長浜ラーメンと博多ラーメンの違いは?
長浜ラーメンの特徴である白濁した豚骨スープに細麺という組み合わせは、博多ラーメンと同じ。福岡でも博多ラーメンと長浜ラーメンの明確な差異はなくなっているのが現状だ。しかし元々博多の豚骨ラーメンは麺もそれほど細くなく、替え玉ではなく大盛りの店がほとんど。時代とともに長浜ラーメンの良いところを博多ラーメンが取り入れていき、現在の博多ラーメンのスタイルになった。
「博多ラーメン」が日本はもとより海外にも知られているのに対して「長浜ラーメン」の認知度は低い。まず新幹線の駅もある繁華街「博多」の知名度に比べて、漁港や市場しかない「長浜」という場所の知名度の差。そしてラーメンそのものにほとんど違いがないことも大きいだろう。実際、福岡以外の場所にある長浜ラーメン店の多くは「博多長浜ラーメン」と看板を掲げているほどだ。
博多ラーメンではなく長浜ラーメンを名乗る店は、長浜の屋台や長浜ラーメン店で修業をした出自によることが多い。また、博多ラーメンよりもスープはあっさりとしていて、具材もチャーシューとネギだけなどシンプルで、価格も安く設定されている店が多い。また屋台の名残としておでんや一品料理などをメニューに置いている店もある。
福岡で行くべき長浜ラーメン店は?
長浜ラーメンを理解するためには、やはり本場福岡で本物の長浜ラーメンを食べたいもの。福岡で長浜ラーメンを食べるためには、看板に「長浜ラーメン」を謳っているかどうかをまずチェックする必要がある。博多ラーメンを出す店は「博多ラーメン」を名乗っていないことが多いが、長浜ラーメンを出す店のほとんどは「長浜ラーメン」と店内外にアピールしている。
その中で、長浜ラーメンの発祥とも言える『元祖長浜屋』はまず押さえておきたいところ。またこの店から分かれた『元祖ラーメン長浜家』などとの食べ比べも面白い。かつて長浜で大行列を作った伝説の屋台『長浜ナンバーワン』は、現在博多や長浜など福岡市内はもちろん東京や海外にも店舗を構えている。手包みの餃子も人気のメニューだ。
屋台で人気を集め、今は天神や中洲などで行列を作っている『やまちゃん』は、いち早く東京にも出店している人気店。同様に『一心亭』や『長浜御殿』など屋台から店舗になった店の多くは、串焼きやおでんなどラーメン以外の一品メニューも多く出しており、ラーメン居酒屋的にも楽しむことが出来る。
長浜ラーメンを色々と食べ歩くことで、長浜ラーメンとは何なのかが体感出来るはず。さらに博多ラーメンとの違いも感じ取れるはずだ。ぜひ福岡でラーメンを食べる時は博多ラーメンだけではなく、長浜ラーメンも食べてみて欲しい。きっと福岡でのラーメン食べ歩きがより楽しくなるはずだ。
※写真は筆者の撮影によるものです。
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