敗因を精度に求めたがる監督に、懐疑的な目を向けたくなる理由
Jリーグ、代表戦等の試合後に行われる監督記者会見。そこでほぼ毎回、登場する台詞に「精度」がある。「もっと精度を高めていかなければ……」と、監督は反省を口にする。パスの精度、シュートの精度、クロスの精度等が、そこで登場する精度の内訳になるが、はたして精度不足の解消は、実現可能な問題だろうか。練習すれば、目に見えて上達するものだろうか。
クロスの場合ならば、もう少し具体的に、視野の狭さとキックの技量不足と言うべきだろうが、そうした個人のポテンシャルだけが失敗の原因だろうか。ダメな場合は蹴る前から、ダメそうな雰囲気に包まれる。ゴールが決まりそうな場合はその逆、蹴った瞬間、もっと言えば、蹴る前の段階で、決まりそうな雰囲気が漂う。
クロスを蹴ることが、その瞬間におけるベストな選択でないにもかかわらず、蹴ってしまっている。これがダメな例によく見られる傾向だ。精度の問題というよりプレーの選択ミス、判断ミス、アイディア不足、企画力不足。そう思わせるシーンに多々遭遇する。
クロスを蹴り込む瞬間、相手の中央のディフェンスが整っているか、崩れているか。蹴る側が、狙って蹴ることができる態勢にあるか。タイミングの問題に加え、蹴る場所の問題も関係する。そのクロスはプラスなのか、マイナス(折り返し)なのか。ターゲットから遠いのか近いのか。それによって可能性は膨らんだり萎んだりする。
この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバー 2018年3月
税込550円(記事4本)
2018年3月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。